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TOPコラムウェルビーイング(well-being)とは?意味やビジネスで注目される背景を解説

<TOPICS>ウェルビーイングを取り入れた企業事例や具体策についてもご紹介!

ウェルビーイング(well-being)とは?意味やビジネスで注目される背景を解説


ウェルビーイング(well-being)は、身体的、精神的、社会的に良好な状態を指し、現代社会で重要視される概念です。単なる「幸福感」や「健康」でなく、個人や組織が持続的に活力を保つための包括的な視点として注目されています。 この記事では、ウェルビーイングの意味や歴史的背景、WHOの健康定義との関連性、さらに現代社会やビジネスでの注目理由を解説します。また、ウェルビーイングを取り入れた企業事例や具体策についても触れ、個人と組織の双方にとっての可能性を探ります。より良い働き方や生活の実現を目指す方は、ぜひ参考にしてください。

ウェルビーイング(well-being)とは

ウェルビーイングは「well(よい)」と「being(状態)」を組み合わせた言葉で、個人の心身と社会が共によい状態であることを意味します。現代では、単なる健康状態を超えて、人々の生活の質や満足度を包括的に捉える重要な概念として注目されています。


以下では、その歴史的背景から現代的な解釈まで、ウェルビーイングの本質的な意味を深く掘り下げていきます。


 - ウェルビーイングの語源と歴史的背景 -

ウェルビーイングの語源は、16世紀のイタリア語「benessere(ベネッセレ)」にさかのぼります。「bene(よく)」と「essere(生きる)」を組み合わせたこの言葉は、幸せや福祉を表す概念として使われていました。当初は医療や看護、社会福祉の現場で使用されていた用語でしたが、時代とともにその使用範囲は大きく広がっていきました。


人々の幸福や生活の質に対する関心が高まるにつれ、ウェルビーイングという言葉は、より広範な文脈で使用されるようになっています。


 - WHOによる健康の定義とウェルビーイング -

WHOは1946年の設立時に、健康を次のように定義しました。


"Health is a state of complete physical, mental and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity."


「健康とは、病気ではないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあることをいいます。」


この定義の中で、ウェルビーイングは健康の重要な構成要素として位置づけられています。


さらに2021年のWHOヘルスプロモーション用語集では、ウェルビーイングについて以下のように定義されました。


"Well-being is a positive state experienced by individuals and societies. Similar to health, it is a resource for daily life and is determined by social, economic and environmental conditions."


この新たな定義は、ウェルビーイングを個人や社会が経験する前向きな状態として捉え、それが健康と同様に日常生活における重要な資源であることを強調しています。また、ウェルビーイングが社会的、経済的、環境的な条件によって決定されるという視点を示すことで、個人の状態だけでなく、社会全体の状態としても捉えられる概念であることを明確にしています。この定義は、ウェルビーイングが持続可能な社会づくりにおいて重要な役割を果たすことを示唆しています。


引用:World Health Organization|Health Promotion Glossary of Terms 2021


 - ハピネスとウェルビーイングの違い -

ハピネス(happiness)とウェルビーイング(well-being)は、しばしば混同されがちですが、その本質は大きく異なります。ハピネスが一時的な幸福感や喜びを表すのに対し、ウェルビーイングはより持続的で包括的な状態を指します。


ウェルビーイングは、身体的な健康状態だけでなく、精神的な充実感や社会との良好な関係性など、人生の多面的な側面における満たされた状態を意味します。この概念は、個人の一時的な感情状態を超えて、持続可能な幸福と充実した生活の実現を目指す、より広範な視点を提供しています。



ウェルビーイングの2つの側面

ウェルビーイングは、個人の主観的な体験や感覚に基づく「主観的ウェルビーイング」と、外部評価に基づく「客観的ウェルビーイング」という2つの側面から捉えることができます。


この2つの視点は相互に補完し合い、個人と社会の総合的な幸福度を評価する上で重要な役割を果たしています。

種類

概要

主観的ウェルビーイング

個人が自身の体験や感覚に基づいて感じる幸福度や満足度

客観的ウェルビーイング

寿命、賃金、統計データなどの外部評価に基づく客観的な指標で測定される状態



 - 主観的ウェルビーイング -

主観的ウェルビーイングは、一人ひとりが自分自身で感じる認識や感覚によって評価される状態です。この評価には、人生への幸福感や満足感、生活への自己評価、喜びや楽しさといったポジティブな感情が含まれます。


主観的ウェルビーイングを測定する代表的な手法として、「キャントリルの梯子(ハシゴ)法」があります。この手法では、人生を梯子に見立て、自分にとって理想の人生から最悪の人生の間を10段階に分け、「いま自分はどこに立っていると感じるか」について回答することで、個人の幸福度を測定します。


このアプローチにより、個人の実感に基づいた幸福度を具体的に数値化することが可能となります。


 - 客観的ウェルビーイング -

客観的ウェルビーイングは、明確な数値基準で把握できる指標に基づいて評価されます。具体的には、平均寿命や生涯賃金、失業率、労働時間、有給休暇取得率、人との関わる時間、育児休業取得者数などの統計データが用いられます。これらの指標は、国別や地域別のウェルビーイングの充実度を比較する際に活用されています。


近年では、GDPに代わる新たな豊かさの指標として、GDW(国内総充実/Gross Domestic Well-being)が注目されています。


GDPが物質的な豊かさを測る量的指標であるのに対し、GDWは質的向上を目指し、人々が実感できる豊かさを測定する指標です。


この新しい指標の導入により、経済的な発展だけでなく、人々の実質的な生活の質の向上を評価することが可能になってきています。


現代社会におけるウェルビーイングの重要性

現代社会では、経済的な豊かさだけでなく、人々の真の幸福や満足度が重視されるようになってきています。


グローバル化による価値観の多様化、持続可能な開発目標(SDGs)の推進、新型コロナウイルスがもたらした生活様式の変化、そして教育分野での新たな展開など、さまざまな側面からウェルビーイングの重要性が高まっています。


 - グローバル化と価値観の多様化 -

グローバル化が進む現代社会では、「ダイバーシティ」という言葉が示すように、人種や宗教、性別、ワークスタイルにとらわれない多様性を認める考え方が浸透してきています。この多様性を認める社会において、ウェルビーイングは重要な役割を果たしています。


特に労働力人口の変化は注目すべき点です。みずほ総合研究所の調査によると、少子高齢化により今から約45年後の日本における労働力人口は、2016年と比較して約4割減少すると予測されています。この課題に対応するためには、女性の労働力を男性並みに引き上げる必要があり、そのためには「病気治療と仕事の両立」「育児と仕事の両立」「働き方改革」が不可欠とされています。


これらの実現には、一人ひとりの多様な価値観や生活スタイルを尊重したウェルビーイングの実現が必要不可欠です。


 - SDGsにおけるウェルビーイングの位置づけ -

SDGsの3番目の目標「あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する(Ensure healthy lives and promote well-being for all at all ages)」には、明確にウェルビーイングという言葉が含まれています。これは単なる健康増進や福祉の充実だけでなく、社会・経済・環境面を満たした持続可能な状態を目指すものです。


さらに注目すべきは、SDGsが掲げる2030年以降の展望です。次なる国際目標として、人々の主観的なウェルビーイングを重視した「SWGs(Sustainable Well-being Goals)」が提唱され始めています。これは「みんなで持続可能なウェルビーイングの状態を目指す」という目標であり、SDGsの次の段階として期待されています。


 - ポストコロナ時代の新しい生活様式 -

2019年12月に始まった新型コロナウイルス感染症の流行は、人々の働き方や生活様式を大きく変化させました。感染防止のための物理的な距離の確保や、外出制限、密集・密接・密閉の回避など、これまでにない環境での生活を強いられました。


このような状況下で、人々は従来の生活様式や働き方を見直し、心身の健康により深く向き合うようになりました。特にリモートワークの拡大により、コミュニケーション不足による精神面の不調やストレスが課題として浮上し、これらは働く人だけでなく、その家族にも影響を及ぼしています。このことは、ウェルビーイングの重要性を改めて認識させる契機となりました。


 - 教育分野での展開と期待 -

教育分野におけるウェルビーイングの重要性は、OECD(経済協力開発機構)が提唱する「ラーニング・コンパス2030」に明確に示されています。この枠組みでは、将来予測が困難な「VUCA(変動性、不確実性、複雑性、あいまい性)」の時代において、教育の目的を「個人のウェルビーイングと社会のウェルビーイングの2つを実現すること」と定めています。


2018年には世界各国の教育者向けにこのビジョンが共有され、ウェルビーイングを重視した教育が加盟各国に求められています。この動きは、次世代を担う子どもたちの健全な成長と、持続可能な社会の実現に向けた重要な一歩となっています。


企業活動でウェルビーイングが注目される理由

企業におけるウェルビーイングの実現は、従業員の幸福度向上だけでなく、企業の持続的な成長にも大きく貢献します。バークレーヴァウチャーズ社の調査から明らかになった日本の職場環境の課題や、企業価値向上への影響など、ウェルビーイングが注目される背景には複数の重要な要因があります。


 - 従業員の満足度向上による生産性アップ -

株式会社バークレーヴァウチャーズが実施した15か国の調査によると、日本の職場におけるウェルビーイングへの満足度は最も低い結果となりました。特に「仕事へのモチベーション」に関する要素が低く、「会社の将来が不安」「朝仕事に行くのが楽しくない」「会社が刺激的な環境ではない」といった項目で、他国と比較して著しく低い評価となっています。


職場のウェルビーイングが良好な状態にあると、従業員の仕事に対するモチベーションが向上し、仕事効率の改善や営業成績の向上につながります。


これにより、従業員からの会社に対する貢献度が高まり、結果として会社の業績向上にも寄与することが期待できます。


 - 優秀な人材確保と定着率向上 -

仕事へのモチベーションや満足度が向上すると、勤務先への不満が減少し、従業員は居心地の良い職場環境に長く留まろうとする傾向が強まります。これにより離職率が低下し、社員教育に投資したコストが無駄になるリスクを軽減できます。


さらに、従業員の会社への愛着度が高まることで、「会社に貢献したい」「会社をより良くしていきたい」という意識が醸成され、将来の幹部候補となる人材の育成にもつながります。そうした人材が管理職として活躍することで、部下への教育も充実し、企業全体の組織力向上が期待できます。


 - 企業価値・ブランドイメージの向上 -

離職率の低下は、外部からの企業評価にも好影響を与えます。従業員を大切にし、働きやすい職場環境や良好な人間関係が整備された企業として認識されることで、就職を希望する優秀な人材が増加することが期待できます。


また、近年では企業活動において収益だけでなく、社会貢献や労働環境の整備といった責任も求められています。特にESG投資が活発化する中、ウェルビーイングの実現は企業価値やブランドの向上に直結する重要な要素となっています。このような取り組みは、企業の持続的な成長と発展に不可欠な要素として認識されています。




企業におけるウェルビーイング経営の具体策

企業がウェルビーイングを実現するためには、組織的かつ体系的なアプローチが必要です。味の素株式会社やキヤノン株式会社、株式会社イトーキなど、先進的な企業の取り組みから、効果的な実践方法を見出すことができます。


健康経営の観点からは、味の素株式会社の「味の素グループ健康宣言」が参考になります。同社では、「人財に関するグループポリシー」を策定し、従業員の心身の健康維持・増進に向けた職場環境づくりを実施しています。全従業員との定期的な面談や、産業医・保健スタッフとの年1回以上の面談を通じて、一人ひとりに合わせた健康支援を行っています。さらに、健康状態の可視化やメンタルヘルス回復プログラムの導入により、自己管理能力の向上と職場復帰支援を実現しています。


働き方改革の視点では、キヤノン株式会社の取り組みが注目されます。同社は創業時からの「健康第一主義」という行動指針のもと、「キヤノン式健康経営」を実践しています。2004年からの禁煙対策に始まり、2007年からは睡眠改善施策を導入し、睡眠による休養度を10%以上改善させることに成功しました。その結果、従業員の血圧や血糖値の改善など、具体的な健康指標の向上が確認されています。


職場環境の整備においては、株式会社イトーキの事例が参考になります。2018年のオフィス移転を機に、ABW(Activity Based Working)を導入し、従業員が自ら働き方をデザインできる環境を整備しました。また、2017年には「健康経営宣言」を制定し、健康促進、禁煙、運動推奨、メンタルヘルス、食事など多岐にわたる項目で具体的な施策を展開しています。特徴的なのは、経営陣だけでなく、健康保険組合や労働組合、従業員とその家族が一体となって健康づくりを推進している点です。


これらの事例から、ウェルビーイング経営の成功には、経営層のコミットメント、具体的な行動指針の策定、そして全社的な取り組みの継続が重要であることがわかります。特に、従業員一人ひとりの状況に寄り添った支援と、組織全体での健康づくりの文化醸成が、持続可能なウェルビーイング経営の鍵となっています。



ウェルビーイングを実現するオフィス事例

従業員のウェルビーイングを実現するオフィスづくりでは、柔軟な働き方の実現、コミュニケーションの活性化、企業文化の醸成という3つの要素が重要です。


以下に紹介する事例では、それぞれの企業が独自の課題やニーズに応じて、これらの要素を効果的に組み合わせた空間づくりを実現しています。



 - 歴史と未来が調和する心地よい二層空間 |株式会社文昌堂様 -

文昌堂様のオフィス改修プロジェクトでは、「自社の魅力をアピールできるオフィス」「部門間連携を高めたい」という要望に応え、従来の風通しの良い企業風土を活かしながら、歴史・文化と新しい感性を融合させた空間を創出しました。


7階と8階という2つのフロアを効果的に活用し、階層ごとに異なる役割を持たせることで、業務内容や目的に応じた柔軟な働き方を実現しています。7階にはABWを取り入れたコミュニケーション促進エリアを設置し、コミュニティ、コラボレーション、ミーティング、リフレッシュ・フォーカスの各機能を備えています。


特徴的なのは、マグネットウォールとキャビネットを活用した商材サンプルの展示スペースで、これが自然なコミュニケーションのきっかけとなっています。


また、可動式の家具を採用することで、利用人数や会議形式に応じて自由にレイアウトを変更できる柔軟性も確保。さらに、オリジナルの造作什器を活用し、空間の見通しを確保しながら、効果的なゾーニングを実現しています。


導入事例:株式会社文昌堂 様 オフィス改修



 - 緑と光が奏でる癒しのワークプレイス |株式会社エー・アール・シー様 -

エー・アール・シー様のオフィス移転では、「人と人のつながりを持てる温かいオフィス」というコンセプトのもと, シームレスな空間設計によって、新しい働き方を実現しています。


温かみのある素材をベースに、コーポレートカラーのオレンジと植栽のグリーンを効果的に配置することで、働きやすさと居心地の良さを両立させています。スケルトン天井の採用により、開放感のある広々とした空間を創出し、従業員の心理的なストレスを軽減する工夫が施されています。


特筆すべきは、カフェエリアと執務エリアの境界を意図的に曖昧にした設計です。床をシームレスにつなぐデザインを採用することで、カフェエリアもフリーアドレス席として活用できる柔軟な空間となっています。この工夫により、従業員は気分や業務内容に応じて自由に働く場所を選択できるようになり、創造性とコミュニケーションの活性化が促進されています。


導入事例:株式会社エー・アール・シー様 オフィス移転




 - ブランドの個性が息づく心地よい空間 |株式会社ロッテ様 -

ロッテ様の執務室改修プロジェクトでは、柔軟な働き方の実現を目指し、多様なワークエリアと自由にレイアウトを変更可能な共用エリアを設置しました。


空間設計において特徴的なのは、遮蔽物を最小限に抑えたレイアウトです。これにより、オフィス内での偶発的なコミュニケーションが生まれやすい環境を実現しています。また、企業のアイデンティティを空間に反映するため、ブランドカラーを差し色として効果的に使用し、視覚的な一体感を創出しています。


さらに、自社製品を陳列できるディスプレイ棚を新設するなど、企業風土の醸成にも配慮した空間づくりを行っています。このような工夫により、従業員が自社の価値観や文化を日常的に感じられる環境を実現し、帰属意識の向上にも貢献しています。

オープンな空間設計と企業文化の可視化により、従業員のモチベーション向上とコミュニケーションの活性化を支援する理想的な職場環境が構築されています。


導入事例:株式会社ロッテ様 執務室改修


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まとめ

ウェルビーイングは、企業の持続的な成長と従業員の幸福を両立させるための重要な概念です。経済的な豊かさだけでなく、個人の心身の健康と社会的な充実を追求することが、現代のビジネス環境では不可欠となっています。企業がウェルビーイング経営を実践することで、従業員の満足度と生産性の向上、優秀な人材の確保、そして企業価値の向上を実現することができます。働き方改革やオフィス環境の整備を通じて、企業と従業員がともに成長できる持続可能な組織づくりを目指すことが求められています。




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