<TOPICS>成功させるための準備・運用の方法は?
フリーアドレスとは?デメリットや従業員が苦痛に感じないためのポイントを解説

フリーアドレスとは

フリーアドレスとは、従業員が固定の席を持たずに、その日の業務内容や気分に応じて自由に席を選んで働くワークスタイルのことです。従来の固定席制とは異なり、従業員は毎日異なる席で仕事をすることができます。
例えば、ある日の朝、従業員Aさんは集中して資料作成をしたいと考え、窓際の静かな席を選びました。午後からはチームミーティングがあるため、大きなテーブルがある共有スペースに移動。翌日は、新しいプロジェクトのアイデア出しをするため、カフェのような雰囲気のリラックススペースで仕事を始めました。このように、フリーアドレスでは従業員が自分の仕事内容や気分に合わせて働く場所を柔軟に選択できるのです。
また、フリーアドレスでは、個人の荷物や書類は共有のロッカーやキャビネットに保管します。デスクや椅子、文具なども共有し、必要に応じて使用します。これにより、オフィススペースの効率的な活用が可能になり、コミュニケーションの活性化にもつながります。
- フリーアドレスが注目される背景 -
フリーアドレスが注目される背景には、主に以下の要因があります。
- ・新型コロナウイルスの影響によるワークスタイルの変化
- ・テクノロジーの進化
- ・多様な働き方への対応
新型コロナウイルスの感染拡大により、多くの企業でテレワークやハイブリッドワークが導入されました。これにより、従来のような固定席の必要性が薄れ、より柔軟なオフィス環境が求められるようになりました。
また、無線LANの整備やモバイルデバイスの普及、クラウドサービスの発展により、物理的な制約が少なくなりました。従業員は場所を選ばずに仕事ができるようになり、フリーアドレスの導入がより現実的な選択肢となったのです。
さらに、昨今、働き方改革の推進により、個々の従業員のニーズに合わせた多様な働き方が求められています。フリーアドレスは従業員の自律性を高め、業務内容に応じた最適な環境を選択できる点で、これらの要求に応えることができます。
フリーアドレスの実態

ここでは、企業におけるフリーアドレスの導入率や座席割合の実態を紹介します。
- 約50%の企業がフリーアドレスを導入している -
日経BP 総合研究所 イノベーションICTラボが公開した「ワークスタイルに関する動向・意識調査」によると、2024年度のフリーアドレスの導入割合は50.6%です。この数値は、全席をフリーアドレスとしている企業と、フリーアドレスと固定席を併用している企業の合計を示しています。
2023年に実施された前回の調査より3.3ポイント増え、初めて5割を上回りました。テレワークと出社の併用を前提としたオフィス形態が一段と定着したことがうかがえます。
出典元:フリーアドレス導入率が初の5割超え、出社とテレワークの「理想の割合」に変化|日経クロステック
- フリーアドレスの座席割合は約60% -
サイオステクノロジー株式会社が実施した「フリーアドレス職場調査」の結果によると、フリーアドレス席の全体に占める割合は平均で60.8%にのぼることがわかりました。固定席よりもフリーアドレス席のほうが多数を占めることを示しています。
なかでも「全席フリーアドレス」とする企業は、従業員100人以下の小規模企業で特に高い傾向があり、26.5%もの企業が導入しています。
出典元:サイオステクノロジー、「フリーアドレス職場調査」結果を発表
フリーアドレスは時代遅れ?デメリットしかないと言われる理由

フリーアドレスの導入を検討する際、「フリーアドレスにはデメリットが多い」と考える人もいます。確かに、フリーアドレスには課題や懸念点が存在し、これらが適切に管理されない場合、デメリットとして顕在化する可能性があります。
ここでは、フリーアドレスの主なデメリットとされる次の点について解説していきます。
【フリーアドレスのデメリット】
- 導入コストがかかる
- 座席管理が難しい
- 書類や持ち物は各自での管理が求められる
- 電話の取り次ぎが困難
- 職種によっては適していないケースもある
- 導入コストがかかる -
フリーアドレスの導入には、単に座席を自由に選べるようにするだけでなく、オフィス全体の環境を整備する必要があります。そのため、想像以上に多くのコストが発生する可能性があります。以下に、導入時に発生する代表的な費用とその概要をまとめました。
発生する費用 | 概要 |
---|---|
工事費用 | オープンスペースや集中ブース、会議エリアなど、柔軟な働き方に対応する空間を設計する場合、壁の撤去・新設、電気・空調工事などが必要になる |
オフィス家具や備品の買い替え費用 | 可動式デスクやチェア、共有のストレージスペース、個人用ロッカーなど、フリーアドレスに適した家具・備品への買い替え費用が発生する |
ネットワーク環境の整備費用 | 席を移動しても常にネットワークに接続できるよう、無線LANの増強やモバイル端末の導入、クラウドサービスの活用など、ITインフラの強化が求められる |
■ 対策
フリーアドレスの導入には多くの費用がかかりますが、以下のような対策を講じることで、負担を軽減しつつスムーズな導入を目指せます。
- ・段階的な導入を検討する
一部のフロアや部署のみでフリーアドレスを先行導入し、効果を見極めながら徐々に全社へと拡大していくと、無駄な設備投資を避けられて、費用を抑えることが可能。さらに、運用上の課題も事前に把握しやすくなる。
- ・既存のオフィス家具やネットワーク機器を再利用する
必ずしもすべてを新調する必要はなく、現在使用しているデスクや椅子を一部レイアウト変更して活用するだけでも、初期費用を大きく削減できる。
- ・自治体や公的機関による補助金・助成金制度を活用する
テレワーク環境の整備やオフィス改革を目的とした補助制度が各地で実施されており、申請条件を満たせば一部費用が補填される場合がある。
- 座席管理が難しい -
フリーアドレスの導入に伴い、座席管理の難しさが新たな課題として浮上するでしょう。固定席では誰がどこに座っているかが一目瞭然でしたが、フリーアドレスではその日によって従業員の座席が変わるため、誰がどこにいるのかを把握するのが困難になります。
この問題は、単に誰かを探すのに時間がかかるというだけでなく、業務上のさまざまな支障を引き起こす可能性があります。例えば、緊急の連絡や急な来客対応、チーム単位での作業が必要な場面などで、関係者の所在を素早く把握できないことが業務効率の低下につながる可能性があります。
また、管理者にとっては、部下の勤怠管理や業務進捗の確認が難しくなるという問題もあります。固定席であれば、席を見回るだけで誰が出社しているか、誰が集中して作業しているかなどが一目で分かりましたが、フリーアドレスではそれが困難になります。
■ 対策
フリーアドレスの自由度を保ちつつ、業務効率を維持・向上させるには、いくつかの工夫が必要です。具体的には、以下のような対策があります。
- ・ITを活用した座席管理システムの導入
- ・チームごとにエリアを区切る「グループアドレス制」の採用
- ・コミュニケーションツールの活用による所在確認の代替
従業員がその日使用する席をアプリに登録し、誰がどこに座っているかをリアルタイムで確認できるようなシステムを導入することで、座席管理の問題を大幅に軽減できます。
また、完全なフリーアドレスほどの自由度はなくなりますが、チーム単位で一定のエリアを割り当てる「グループアドレス制」を採用するのも一つの解決策です。さらに、チャットツールやビデオ会議システムを活用すると、物理的な所在に頼らない連絡手段を確立できます。
- 書類や持ち物は各自での管理が求められる -
フリーアドレス制では固定の席がないため、個人の書類や持ち物を机の引き出しに入れっぱなしにしておくことはできません。
その日に必要な荷物を毎朝持参し、帰宅時にはすべて持ち帰るか、指定の保管場所に収納する必要があります。特に、多くの書類や専門的な道具を使用する業務の従業員にとっては大きな負担となる可能性があります。
私物や貴重品を保管するために、個人用のロッカーが用意されることが一般的ではあるものの、スペースには限りがあります。荷物量が多いと、すべての持ち物を収納できない点が課題です。
■ 対策
紙の書類をできる限りデジタル化し、クラウドストレージなどで管理すると、物理的な荷物を減らすことができます。また、共有のオフィス用品を充実させるのも効果的です。基本的な文房具や資料などを各フロアに配置することで、個人が持ち運ぶ必要のある荷物を最小限に抑えることができます。
従業員に対しては、ロッカーや共有スペースの効果的な使い方、クラウドツールの操作方法などの教育を行うことも重要です。こうした準備がないままフリーアドレスをいきなり始めてしまうと、従業員の負担が大きくなり、業務効率の低下や混乱を招くおそれがあります。
そのため、導入前から適切な知識やスキルを身につけさせることが、スムーズな運用につながります。
- 電話の取り次ぎが困難 -
フリーアドレス制の導入に伴い、電話の取り次ぎが大きな課題となります。固定席の場合、各従業員の席に固定電話が設置されているため、内線番号を知っていれば簡単に電話を取り次ぐことができました。しかし、フリーアドレスでは従業員の座席が日々変わるため、従来の方法では電話の取り次ぎが非常に困難になります。
この問題は、単に不便というだけでなく、業務効率の低下や顧客対応の質の低下につながる可能性があります。例えば、重要な取引先からの電話を迅速に担当者につなげられないことで、ビジネスチャンスを逃す可能性があります。また、社内での緊急連絡にも支障をきたす恐れがあります。
さらに、受付や総務部門の負担が増加する可能性もあります。従業員の所在を確認するために時間を要し、その間、他の電話対応や業務が滞る可能性があります。
■ 対策
フリーアドレスによる電話取り次ぎの課題を解消するためには、以下のような対策が効果的です。
- ・クラウドPBXの導入
- ・座席管理システムと連携した電話システムの整備
- ・社内コミュニケーション手段の見直し
クラウドPBXとは、従来のオフィス内に設置する電話交換機(PBX)をクラウド上に置き、インターネットを通じて内線や外線の通話を管理するシステムです。従業員の個人スマートフォンを内線化し、どこにいても電話を受けられる環境を整備できるため、座席に関係なく、必要な人に直接電話をつなげられます
次に、座席管理システムと連動した電話システムの導入もおすすめです。従業員が着席した席をシステムに登録することで、その席の電話に自動的に内線番号が割り当てられるようなシステムを構築することができます。
社内の連絡手段としては、電話よりもチャットやメールを優先するなど、コミュニケーション方法自体を見直すことも重要です。これにより、電話の取り次ぎに伴う問題を根本的に軽減することができます。
- 職種によっては適していないケースもある -
フリーアドレス制は、すべての職種や業務形態に適しているわけではありません。特定の職種や業務内容によっては、フリーアドレスよりも固定席での業務の方が効率的で適切な場合があります。
頻繁に機密情報や個人情報を扱う人事部門、経理部門、法務部門などでは、情報セキュリティの観点から、フリーアドレスの導入が難しい場合があります。書類やデータの管理を厳重に行う必要があり、自由に席を移動することで情報漏洩のリスクが高まるからです。
大量の紙書類や専門的な機器を日常的に使用する建築設計者や製品開発者なども、フリーアドレスは適していません。大型の図面や試作品を扱うことが多く、これらを毎日持ち運ぶのは現実的ではありません。
また、カスタマーサポート部門など頻繁に電話対応を行う部署は、固定の電話機や専用のヘッドセットなどを使用するため、席の移動は困難です。
■ 対策
これらの課題に対しては、以下のような具体的な対策が考えられます。
- ・ハイブリッド型の導入
- ・グループアドレス制の採用
- ・セキュリティ対策の強化
オフィス全体をフリーアドレス化するのではなく、情報セキュリティが重要な部署や特殊機器を使用する部署は固定席を維持するハイブリッド型の方式を採用することが効果的です。
また、部署やチーム単位でエリアを区切り、その中で自由に席を選べるグループアドレス制を取り入れることで、持ち運ぶ距離や荷物量が少なくなるメリットがあります。クラウドストレージの活用や情報アクセス権限の厳格化により、どの席でも安全に業務ができる環境を整備することも重要な対策です。
フリーアドレスのメリット

フリーアドレスは、デメリットだけでなく多くのメリットも備えています。以下では、フリーアドレス導入による主なメリットを解説します。
【フリーアドレスのメリット】
- ・オフィスのスペースを有効活用できる
- ・生産性の向上に期待できる
- ・備品などにかかるコストを削減できる
- ・従業員間の活発なコミュニケーションに期待できる
- ・組織変更や人材の入れ替え時に柔軟な対応ができる
以下、各メリットについて解説していきます。
- オフィスのスペースを有効活用できる -
フリーアドレスの導入により、オフィススペースの効率的な活用が可能になります。従来の固定席方式では、従業員全員分の席を用意する必要がありましたが、フリーアドレスでは必ずしもそうである必要はありません。
例えば、営業部門のように外出が多い部署では、在席率が常に100%になることはまれです。フリーアドレスを採用することで、実際の在席率に応じた座席数を設定できるため、スペースの無駄を減らすことができます。
また、空いたスペースを有効活用し、Webミーティングブースや集中作業用のブースなど、多様な働き方に対応した空間を創出することもできます。これにより、限られたオフィス空間をより効果的に活用することが可能となります。
オフィス賃料の高騰や、増員に伴うオフィス拡張という課題を抱えている場合は、特にフリーアドレスの導入がおすすめです。
- 生産性の向上が期待できる -
フリーアドレス制では、従業員が自分の業務内容や気分に合わせて働く場所を選択できます。例えば、集中して資料作成をしたい時は静かな個室を、アイデア出しをしたい時はリラックスできるカフェ風スペースを選ぶことができます。このように、その日の仕事に最適な環境を自ら選択することで業務効率が向上し、結果として生産性の向上につながるのです。
また、固定席ではない環境下で仕事をすることで、従業員は自然と自分の仕事の進め方や時間の使い方を意識するようになります。これにより、より効率的な業務遂行が可能になり、生産性の向上が期待できます。
特に、創造的な業務が多い広告代理店や、プロジェクトベースで仕事を進めるIT企業などでは、このメリットを大いに活かすことができるでしょう。従業員が自由に働く場所を選ぶことで、新しいアイデアが生まれやすくなったり、プロジェクトの進捗に応じて最適な環境を選択できたりするからです。
- 備品などにかかるコストを削減できる -
固定席方式では従業員一人ひとりにデスクや椅子、キャビネットなどの備品が必要でした。一方、フリーアドレスの場合は、在席率が80%程度の部署であれば、従業員数の8割程度の備品で十分となります。これにより、備品の購入費用や管理・メンテナンスにかかるコストを削減できます。
また、個人用のデスクやキャビネットが不要になることで、オフィススペースを効率的に使用できるようになります。これにより、オフィス全体の面積を縮小したり、余ったスペースを他の用途に活用したりすることが可能になります。結果として、賃料や光熱費などの固定費の削減にもつながります。
さらに、フリーアドレス導入に伴いペーパーレス化を進めることで、印刷機器や消耗品コストも削減できます。文書の電子化により、保管スペースの削減やセキュリティの向上といった副次的な効果も期待できます。
- 従業員間の活発なコミュニケーションに期待できる -
フリーアドレスでは毎日異なる席に座ることができるため、普段は接点のない部署の人と隣り合わせになる機会が増えます。また、カフェテリアのようなリラックススペースや、立ち話ができるハイテーブルなど、コミュニケーションを促進するための共有スペースが設けられることが多いです。
さらに、上司と部下、あるいは役職の異なる従業員同士が隣り合わせて仕事をする機会も増えるため、組織の垣根を越えたフラットなコミュニケーションが促進されます。
こうした環境は、新しいアイデアの創出や問題解決のきっかけにつながる土壌となります。特にイノベーションが求められる業界や、部門間の連携が重要な企業で大きな効果を発揮するでしょう。例えば、製品開発を行う企業では、営業部門とエンジニアリング部門の交流が活発になることで、市場ニーズをより反映した製品開発につながる可能性があります。
- 組織変更や人材の入れ替え時に柔軟な対応ができる -
従来の固定席方式では、組織変更や人員の増減が発生した際に、大規模なレイアウト変更や引っ越し作業が必要でした。これには時間とコストがかかり、業務の中断を招く可能性もありました。一方、フリーアドレスでは、席と人が結びついていないため、このような物理的な変更作業が最小限で済みます。
例えば、新しいプロジェクトチームが発足した場合、フリーアドレスのオフィスでは、特定のエリアを一時的にそのチーム用に割り当てるだけで対応できます。また、部署の統廃合が行われた場合も、座席の再配置や名札の付け替えなどの作業が不要になります。
特に成長期の企業や、プロジェクトベースで業務を行う企業にとって大きな利点となります。組織の変化に迅速かつ低コストで対応できることで、ビジネスの俊敏性が向上し、競争力の維持・強化にもつながるのです。また、M&Aが頻繁に行われる業界や、季節によって人員変動が大きい業種(税理士事務所など)でも、このメリットは有効に活用できるでしょう。
「フリーアドレスをやめてほしい」と言われないための5つのポイント

フリーアドレスは多くのメリットがありますが、導入方法を誤ると従業員から不満の声が上がることも少なくありません。ここでは、フリーアドレスが「やめてほしい」と言われないための5つの重要なポイントを解説します。
- 導入目的を明確にして共有する -
フリーアドレスの導入に対して、「自分の席がなくなる」「仕事の効率が下がる」と不安や抵抗感を持つ従業員も少なくありません。そのため、導入の目的や期待される効果を丁寧に説明し、従業員の理解を得ることが極めて重要です。目的を共有することで、従業員一人ひとりがフリーアドレスの意義を理解し、積極的に新しい働き方に取り組むモチベーションを高められるため、導入後の混乱を最小限に抑えられます。
具体的な共有方法としては、全社集会やミーティングでの説明、社内イントラネットでの情報発信などが考えられます。また、パイロット部署での試験導入とその結果の共有も、他の従業員の理解を深めるのに効果的です。
- フリーアドレスに適した仕組み・制度へ変更する -
固定席のように、上司が席を見回るだけで勤務状況を確認することは困難であるため、フリーアドレスではICカードやスマートフォンアプリなどを使用した出退勤管理システムや、ビジネスチャットツールなどの導入がおすすめです。これにより、従業員の勤務状況を正確に把握しつつ、柔軟な働き方を支援することができます。
また、「クリーンデスクポリシー」の導入も検討すべきです。これは、退社時に使用した机を完全に片付け、次の人が気持ちよく使えるようにするルールです。このポリシーを徹底することで、オフィスの衛生管理や整理整頓が促進されます。
これらの仕組みや制度の変更により、フリーアドレスの導入がスムーズに進み、その効果を最大限に引き出すことができます。ただし、急激な変更は従業員の混乱を招く可能性があるため、段階的な導入や十分な説明期間を設けることが大切です。
- ツールを有効活用する -
フリーアドレスを効果的に運用するには、適切なツールの導入と活用が欠かせません。従来の固定席環境とは異なる働き方をサポートするツールがあってこそ、フリーアドレスのメリットを最大限に引き出せます。
ツールの種類 | 概要 |
---|---|
座席管理システム | 空席状況の可視化や予約機能を搭載。従業員の所在把握や効率的な座席利用を実現し、「席がない」といった不満を軽減する |
文書管理システム | クラウド上で文書を一元管理し、どの席からでもアクセス可能に。物理的な書類の持ち運びが不要になり、情報セキュリティも向上する |
コミュニケーションツール | チャットやビデオ会議機能を通じて、席が離れていても円滑な情報共有が可能 |
タスク管理ツール | 業務の進捗状況を可視化し、上司と部下が異なる場所で働いていても効率的なタスク管理が可能になる |
デジタルホワイトボード・オンラインブレインストーミングツール | オンラインでのアイデア共有やブレインストーミングを可能にし、フリーアドレス環境でも創造的な協働作業を実現する |
- ペーパーレス化を進める -
ペーパーレス化を進めることで、物理的な書類の保管スペースが大幅に削減されます。これにより、オフィススペースを有効活用でき、より柔軟なレイアウト変更が可能になります。また、従業員が毎日大量の書類を持ち運ぶ必要がなくなるため、フリーアドレスへの移行がスムーズになります。
さらに、ペーパーレス化には多くの付随的なメリットがあります。例えば、文書の検索や共有が容易になり、業務効率が向上します。また、印刷コストや紙の保管コストが削減され、環境負荷の低減にもつながります。セキュリティの面でも、適切なアクセス権限の設定により、機密情報の管理が容易になります。
ペーパーレス化を推進するためには、以下のような施策が効果的です。
- ・文書管理システムの導入
- ・電子承認システムの導入
- ・デジタルサイネージの活用
- ・タブレットやノートPCの支給。
- ・スキャナーの設置
- ・電子契約システムの導入
- 集中スペースを設計する -
フリーアドレス制では人の動きが活発になり、コミュニケーションが促進される反面、集中力の低下が大きな課題となります。「うるさい」「落ち着かない」という不満は、フリーアドレス導入後によく聞かれる声です。
これらの問題を解決し、従業員が快適に働ける環境を実現するために、集中スペースを設計しましょう。集中ブースは防音性の高い個室型のスペースで、ビデオ会議や深い思考を要する作業に最適です。
また、集中スペースに加えて、サイレントエリアを設計することもおすすめです。サイレントエリアは会話禁止のオープンスペースで、静かな環境が確保されながらも完全な個室ではない中間的な選択肢を提供します。
参考になるオフィスレイアウト事例

ここでは、NC建材株式会社様と株式会社ロッテ様の2社のレイアウト事例を紹介します。
これらの事例を通じて、企業の業務効率や従業員の働き方を改善につながるレイアウト例を見ていきましょう。
- NC建材株式会社 -

NC建材株式会社様のオフィス営業所新設事例は、魅力的で機能的なワークスペースの創出を実現しています。
この事例の特筆すべき点は、多様な業務スタイルに対応しつつ、企業の魅力を伝える"魅せるオフィス"としての機能を果たしていることです。エントランス正面には企業ロゴをプロジェクションマッピングで投影し、来訪者に印象的な演出を行っています。
執務エリアは、オープンなフリーアドレス形式を採用しつつ、ゾーンごとに異なる明るいカラーを配置しています。これにより、オフィス内に活気が生まれるだけでなく、従業員が気分や業務内容に応じて働く場所を選択できるようになっています。
さらに、コミュニケーションを促進するためのオープンスペースや、オンライン会議に対応した個別ブース、大人数での会議にも対応可能なカフェブースなど、多様な働き方に対応できる空間が用意されています。これらの要素が組み合わさることで、従業員が状況に応じて柔軟に働くことのできる環境が実現しています。
関連記事:NC建材株式会社様 オフィス営業所新設
- 株式会社ロッテ -

株式会社ロッテ様の執務室改修事例は、フレキシブルな働き方の実現と企業ブランドの強化を同時に達成した好例です。
この事例の特徴は、多様なワークエリアの設置と、自由にレイアウトを変更可能な共用エリアの増設にあります。遮蔽物を最小限に抑えた設計により、偶発的なコミュニケーションを促進する空間が生み出されています。これは、部門を超えた交流の促進に大きく寄与しています。
また、企業ブランドの強化という点でも工夫が見られます。ロッテ様のブランドカラーを差し色として使用し、自社製品を陳列可能なディスプレイ棚を新設するなど、企業風土の醸成を促す仕掛けが随所に施されています。これにより、従業員が日常的に企業の理念や製品に触れる機会が増え、インナーブランディングの効果も期待できます。
企業の個性を反映したオフィスデザインを行うことで、単なる席の自由化にとどまらない、総合的な職場環境の改善が実現されています。
これらの事例は、単なるオフィスレイアウトの変更だけでなく、企業文化や働き方の根本的な変革につながる可能性を示しています。各企業の特性や目的に合わせてカスタマイズすることで、フリーアドレスは多様な効果を生み出す強力なツールとなり得るのです。
関連記事:株式会社ロッテ様 執務室改修
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まとめ
フリーアドレスは、現代のオフィス環境に革新をもたらす可能性を秘めています。適切に導入することで、柔軟な働き方や効率的なスペース活用、コミュニケーションの活性化など、多くのメリットが得られます。
しかし、その導入には慎重な計画と準備が必要です。デメリットを理解し、適切な対策を講じることで、フリーアドレスの効果を最大限に引き出すことができます。成功事例を参考にしながら、自社の特性に合わせたフリーアドレスの導入を検討することで、より生産性の高い、創造的な職場環境を実現できるでしょう。
TOPPANではコミュニケーション向上につながる、オフィスレイアウトのご提案が可能です。
チームビルディングを促進するコミュニケーションを重視したオフィスレイアウトをご検討の際は、ぜひお気軽にご相談ください!
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