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TOPコラム第36回日経ニューオフィス賞でニューオフィス推進賞を受賞!「expace® office」

アップデートし続けるオフィスを目指して

第36回日経ニューオフィス賞でニューオフィス推進賞を受賞!「expace® office」


TOPPANは印刷技術を活かして建装材の開発や、空間演出事業「expace®」を展開しています。


このたび、自社の秋葉原事業所(東京都台東区)内に企画・設計・施工した「expace® office」が日経ニューオフィス賞にて「ニューオフィス推進賞」を受賞しました。


既存のオフィスが「部門間交流が少ない」という課題を抱えていたなかで、expace®  officeで工夫したポイントや、先を見据えたオフィスづくりについて、同プロジェクトに携わったお二人にお話を伺いました。




山田 信之



佐藤 春花

「日経ニューオフィス賞」とは

「日経ニューオフィス賞」は、一般社団法人ニューオフィス推進協会及び日本経済新聞社が共催する、先進的なオフィスづくりを審査・表彰する賞です。

1986年、当時の通商産業省(現:経済産業省)から、一日の大半を過ごす職場の質向上を主旨とした「ニューオフィス化推進についての提言」が行われました。それを受け、1988年からは「日経ニューオフィス賞」が毎年開催され、全国を7ブロックに分け、各上位入賞オフィスが「ニューオフィス推進賞」に選ばれています。

関係者なら誰でも憧れる賞に、初応募&初受賞

Q. まずは「日経ニューオフィス賞 ニューオフィス推進賞」の受賞、おめでとうございます。

TOPPAN株式会社 生活・産業事業本部 環境デザイン事業部 コンストラクション本部 空間企画部 山田信之

山田:
私たちのようにオフィスづくりに携わる者にとって、憧れている賞の一つです。今回は第36回目ということで喜びと共に歴史の重みも感じています。

TOPPAN株式会社 生活・産業事業本部 環境デザイン事業部 コンストラクション本部 空間企画部 プロデューサー1T 佐藤 春花

佐藤:

オフィス系の設計経験がある人なら誰でも知っている賞です。TOPPANでも「いつか応募したい」と考えており、今回は自社オフィスを自らの手でデザイン・改修したこともあり、ようやく初応募に至りました。


山田:
これを契機として世間への露出機会が増えることで、オフィスデザインを手がけていく上で重要な武器になると考えています。「オフィスづくりならTOPPANに聞いてみよう」と、ご依頼が増えるのではないかと楽しみにしているところです。

Q. 受賞を知らされた瞬間、どのようなお気持ちでしたか?

佐藤:

びっくりしましたね。個人的には、難しいかなと思う部分もあったので、最初に聞いた時には本当に驚きました。


山田:

社内で「受賞しましたよ!」と連絡があり、そこから慌てて関係者に電話を入れたことを覚えています。めちゃくちゃうれしかったですよ。

Q. 「expace® office」はどのような経緯で出来上がったのでしょうか

2022年5月に竣工したexpace® office

山田:

始まりは2021年で、若手のメンバーが中心となって進めた企画です。空間演出事業の「expace®」は2020年9月に立ち上がったこともあり、企画段階から俯瞰して携われる若手プロデューサーを育成しようと“塾”のようなプロジェクトが発足しました。まずは「秋葉原の自社オフィスを改装し実例をつくろう」と言うことで、実現に向けて走り出しました。


佐藤:
なお「expace®」は「ex」と「space」をかけ合わせた造語で、お客さまの想いを実現することをコンセプトとしています。「ex」には「extra(特別な)」「experience(経験)」「excite(ワクワク)」など、「共感・感動」を演出する意味が込められています。

交流の場をオフィスの中心に据え、誰もに見えるように

Q. 改修にあたってどんな課題が見えてきたのでしょうか

山田:

佐藤と私が所属する環境デザイン事業部の中には、2人がいるコンストラクション本部をはじめ、8つの本部が存在します。しかし、部門間の交流が少なく、連携を取れないことが大きな課題でした。


佐藤:

さらに、コロナ禍を迎えてオフィスから人影が消え、今まで以上に活気を取り戻せるような空間づくりが求められました。以前からフリーアドレスは導入していましたが、どちらかというとグループアドレスに近く、本部の“島”の中でのみ社員の席移動が行われていました。


山田:

部署間の連携が取りにくいことは、誰もが肌で感じていたと思います。すぐ隣にいるのに、その人がどんな仕事をしているのか分からないような状態でした。


佐藤:

もちろん「もっと自由に連携しよう」という声もあり、部署を超えたさまざまなプロジェクトが発足しました。しかし、人が集まれるスペースが限られていたり、会議室も予約制で気軽に使えなかったりと、空間的な要因が足を引っ張っているケースも見られましたね。


山田:

こうした課題を解決するため、先ほど話した若手プロデューサーたちに動いてもらいました。「将来を担うメンバーがどんなオフィスで働きたいのか」を具現化させたのがこのオフィスです。


佐藤:
皆さんの声はミーティングやアンケートによって吸い上げました。例えば色合いについても、現在のようにナチュラルで落ち着いたトーンにするのか、エリアごとにテーマカラーを決めたカラフルな配色にするのか等、全社員にアンケートを実施しました。

Q. 具体的にどのようなオフィスづくりをしたのでしょうか

あえてオフィスの中心に配置したミーティングスペース「ダイバーシティエリア」。可動間仕切りで人数に合わせて柔軟に使用可能。

山田:
最大の特徴はミーティングスペース「ダイバーシティエリア」をオフィスの中心に据え、人の動きを見えるようにしたことです。やはり「コミュニケーション活性化」がメインテーマだったので、社員同士が気軽に話せる場をセンターに置き、オフィスにいるみんなの視界に入るよう工夫しました。

佐藤:
逆に、1人ないし少人数で静かに作業に集中できるエリアは、オフィスを囲むようにして窓や壁際に配しています。また、昔ながらの島型デスクも残し、小規模ミーティングスペースや、防音の1人用個室なども設けました。

1人や少人数で作業するエリアはオフィスを囲むように窓や壁側に配置

山田:

「偶発的な出会い」や「歩いている途中でのちょっとした打ち合わせ」が頻繁に生まれることを願い、デザインしました。そのために最適なスタイルを追求したところ「コミュニケーションスペースはオフィスの中心にあるべきだ」との結論に至りました。今回のオフィスづくりにおける最大の答えを、最もみんなから見える場所に置いたわけです。

「ダイバーシティエリア」や「ラウンジエリア」といったコミュニケーションスペースを中心に据え、 個人や少人数での作業スペースは壁側に配置。社員同士が自然と交流できるレイアウトに。

山田:

個人的には、私たち老舗の会社が「部門間の交流がほぼ無い」という自らの課題を洗い出し、コミュニケーションスペースを真ん中に置いて課題解決に取り組むという姿勢が高く評価されたのではないかとのだと思います。会議室などの打合せスペースは端に配置されることも多い中で、これは特徴的なケースではないでしょうか。


佐藤:

また、床材や壁面には当社の商材を空間に馴染むようさりげなく使用しています。もともと建装材をつくるところから始まっているので、自分たちの商材を使用しているというのも、他のオフィスでは見られない特徴だと思います。昨今環境配慮への関心も高まるなかで、当社ではSDGsの観点を重視した商材も多くあり、expace® officeにも使用しています。expace®だからこそできる環境に配慮した内装デザインもポイントの1つです。

席の使い方が個性的に。そしてアップデートし続けるオフィスへ。

Q. オフィスが新しくなり、どのような効果が生まれていますか?

佐藤:

これまでの“典型的な日本の事務所”から変わり、皆さんに「見違えるよ」「話しやすくなったよ」などと言われます。以前は部署ごとに分断されている雰囲気がありましたが、交流スペースを増やしたことにより、他部署の人同士が話し合う姿も目にするようになりました。


山田:

短い時間で席を変える人もいれば、一日を通して動かない人もいて、それぞれが思い思いにワークできるようになった気がします。また、随所にモニターを置くことで、紙の資料を用意する人が減ったように思いますね。何も準備をせずパッと人が集まり、サッと打ち合わせをする、といった場面もよく見かけます。


佐藤:
カフェスペースにはテーブルとソファを置いたことで、肩ひじを張らない雑談が聞こえるようになりました。飲食もできるので気軽に集まりやすく、ランチタイムにも人気の場所です。また、上司の間では「部下とあえてコミュニケーションを取る」という変化が生まれているようです。以前は自分の近くに部下がいましたが、フリーアドレスで別のエリアにいることもあり、積極的に探して話しかけるようになったと聞きます。

リフレッシュやブレストが弾むカフェスペース

山田:

一方でオフィスの周囲に配した執務スペースは、長時間にわたって作業をする人に適しています。各席にモニターを設置しているため、資料作りにも向いていますね。

また、すぐに営業に出る人は椅子に座らず、カウンター席で立ちながら書類を整理したりしています。オフィスに戻り、少しワークして再び外出するという、タッチダウンスペースになっています。

ちょっとした作業に最適なカウンター席は、外出も多い営業職に人気。

佐藤:

以前は、誰がどの部署なのか分からず、話しかけるタイミングもつかめませんでした。でも今は、例えばカフェスペースでリラックスしている人を見かけたらコミュニケーションを取ってみるなど、私の中でも変化が起きていますね。一緒に働いている人の表情や雰囲気、会話の様子などを把握しやすくなったと感じています。


山田:

これまでは「空間をマニュアル通りにしか使っていなかった」と、改めて感じています。自由度が高くなり、新入社員を見かけたらいろいろな部署の先輩が話しかけるなど、今までにない展開もあります。こうして顔見知りになり、至る所で会話が生まれていて「人それぞれ、スペースや席の使い方に個性が出てきた」と感じています。

Q. オフィスの「人流解析」も行われていますが、どのような仕組みなのでしょうか?

佐藤:

各テーブルや会議室に設置されたセンサーが、近くにいる社員のスマートフォンから情報を読み取り、誰がどこにいるのかリアルタイムで分かるようにした仕組みです。オフィスが完全にフリーアドレス化されたので、このツールが無ければ人を探すのに苦労しますよね。その手間を解消する役割もあります。


山田:

目的の人に向かって歩いている途中、動線に沿って誰が座っているのかも手元のスマホに表示できます。ここでもやはり、自然なコミュニケーションが生まれることを期待できます。


佐藤:

この機能を利用し、空間利用や組織間交流の見える化も進めています。例えば「設定した意図の通りに会議室を有効活用しているか」「オフィス改修で人の行動や交流はどう変わったのか」などをデータ化でき、共有スペースの利用ルールやレイアウトの変更、組織横断プロジェクトの企画などに活用できます。


山田:
「expace® office」は完成させたら終わりではなく、アップデートし続けるオフィスにしたいと思っています。昨今の激しく変化する環境下でも十分に対応できる、柔軟なオフィスを目指しています。

受賞を経て説得力や自信が伴うように。expace® officeは随時見学可能。

Q. 受賞を経て、改めてオフィスづくりに対して思うことはありますか?

山田:

自分たちの課題を見つけ、改善に取り組んで賞を頂けたことはプラス材料です。お客さまに対して自らの経験を基に提案できることは、非常に大きな説得力を伴います。こうした点を意識しながら、これからも企画を組んでいきたいですね。


佐藤:

オフィスづくりにチャレンジしたことのない営業担当者も多い中、自らの経験により、多様にして現実的な提案を行えるようになりました。私も含め、多くの社員の自信につながったことと思います。


山田:
数々のオフィスやショールームに足を運び、目の肥えたお客さまを前にプレゼンする機会も多いのですが、今回の受賞を経て、私たちに対する興味や感心が強まったと感じています。現状で満足せず、これからも機会があれば応募したいですね。

Q. expace® officeは見学できるようになっています

山田:

営業担当者には「TOPPANのオフィスづくり」を伝えるためのツールとして活用してほしいですね。もちろん私としては、せっかく賞も取れたので広く自慢したいです(笑)。実際に来ていただくと雰囲気も伝わると思うので、より多くの方に見ていただきたいです。


佐藤:

TOPPANという会社がオフィス改修や空間デザインも手掛けていると知らない人も多いので、ぜひ見学に来てほしいですね。素晴らしい賞を受賞したことも、もっとたくさんの方に伝えたいです。

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