
近年、注文住宅や新築マンションで採用されることが増えている「リビング階段」。その名の通り、リビングの中に階段が設置された間取りのことで、デザイン性や家族とのコミュニケーションの観点から注目されています。
しかし一方で、「採用してみたら使いづらかった」「こんなはずじゃなかった」と後悔する声があるのも事実です。
この記事では、リビング階段の基本的な特徴や人気の理由をはじめ、後悔しやすいポイントや対策方法までを丁寧に解説していきます。
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リビング階段とは?

リビング階段とは、住宅の中心であるリビング空間に直接階段を設けた間取りを指します。 一般的な階段が廊下や玄関に配置されるのに対し、リビング階段は家族が集まる生活空間に組み込まれているのが特徴です。
構造としては、吹き抜けと組み合わせたり、スケルトン階段(踏板や手すりが抜けた開放的な階段)としてデザインされることも多く、視線の抜け感や明るさを重視した設計にマッチします。
なぜリビング階段が人気なのか
リビング階段が選ばれる主な理由は、「家族とのコミュニケーションが増える」「おしゃれなデザインで空間に開放感が生まれる」といった点にあります。
家族が2階へ上がる際や降りてくる際に必ずリビングを通るため、自然と顔を合わせる機会が増えます。 これは特に子育て世帯に人気のポイントで、「子どもの帰宅や外出のタイミングが把握しやすい」「会話の機会が自然に増える」といったメリットにつながっています。
また、リビング階段は空間を立体的に使うことで、限られたスペースでも開放感を演出できるため、デザイン性を重視した住まいづくりにも相性が良いです。 スケルトン階段やアイアン手すりなどを採用することで、スタイリッシュなインテリアに仕上げることも可能です。
ただし、こうした魅力の裏には、冷暖房の効率や音の伝わりやすさといった「思わぬ盲点」も存在します。 次章では、実際にリビング階段を採用して後悔したという声と、その具体的な理由について見ていきましょう。
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リビング階段で後悔する理由

リビング階段はデザイン性や家族のつながりを重視した間取りとして人気がありますが、実際に採用してみると「思ったより不便だった」と感じるケースもあります。
ここでは、よくある後悔の理由を5つご紹介します。
冷暖房の効率が悪く、室内が寒い・暑い
リビング階段を採用すると、1階と2階が吹き抜けのようにつながる構造になることが多く、空気が上下に流れやすくなります。そのため、冬場は暖かい空気が上に逃げてリビングが寒くなり、夏場は冷房の効果が弱くなるといった声が多く聞かれます。
特に断熱性や気密性が十分でない住宅では、空調効率の低下が光熱費の増加にもつながり、思わぬランニングコストが発生することもあります。
音やにおいが2階に広がる
リビングに階段があると、キッチンのにおいや生活音が2階まで伝わりやすくなるという問題もあります。たとえば、料理中のにおいが寝室や子ども部屋まで届いたり、リビングでのテレビの音や会話が2階で気になるということも。
間仕切りが少ないことで開放感は生まれますが、音やにおいの遮断が難しくなる点は、事前に想定しておきたいところです。
来客時に家族が気を使う

リビング階段では、2階に上がる際や降りる際に必ずリビングを通過することになります。そのため、来客がリビングにいる場合、家族が移動しづらくなったり、気を使って動けない状況が生まれることがあります。
家族の生活動線と来客スペースが重なることで、プライバシーの確保が難しくなり、ストレスを感じるケースも見受けられます。
また来客が2階にいる場合も、前述のようにリビングの音が2階へ聞こえやすいため、家族が生活音に気を使うことになりがちです。
プライバシーが確保しにくい
階段を通して1階と2階の空間がつながるため、家族それぞれのプライベート空間が保ちにくくなるという声もあります。
特に子どもが成長して思春期を迎えると、家族との適度な距離感が求められる場面も出てくるため、リビング階段の間取りが気になるようになるかもしれません。
また、2階の話し声や生活音がリビングに筒抜けになることも多く、個室のような静かな空間を確保しにくいという課題があります。
子どもの落下やケガが心配

リビング階段は家族が目にしやすい場所にあるため、子育て中の家庭では一見安心に思えますが、逆に目を離しやすいことによってケガのリスクが高まることもあります。
小さな子どもが階段で遊んだり、リビングで目を離した隙に登ってしまって転落したりというケースは少なくありません。階段に滑り止めやゲートを設置しないままだと、事故につながる恐れもあるため、安全対策が必要不可欠です。
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リビング階段のデメリットまとめ
上述したような「よくある後悔」を踏まえて、リビング階段のデメリットを以下の5つに整理することができます。
- 空調効率の低下:上下階の空気がつながることで冷暖房が効きにくく、光熱費がかさむ傾向があります。
- 音の拡散:生活音やテレビの音が階段を通じて伝わりやすく、家族間で音のストレスを感じることも。
- においの広がり:キッチンの調理においが2階にまで届くため、衣類や寝具ににおいがつくケースがあります。
- 安全性の懸念:小さな子どもや高齢者の転倒リスクがあり、階段の形状や安全対策が重要です。
- 生活動線・プライバシーの制限:来客時に家族がリビングを通る必要があるため、動線上の気遣いが増えたり、プライベートな空間の確保が難しくなることがあります。
このように、リビング階段にはいくつかの共通した課題があります。とはいえ、設計段階で適切な対策を講じることで、これらのデメリットを軽減することは十分に可能です。次章では、それぞれの課題に対してどのような工夫ができるのか、具体的な対策をご紹介します。
リビング階段で後悔しないための対策
リビング階段の後悔を防ぐには、設計の段階で暮らしに合わせた工夫を取り入れることが大切です。ここでは、よくあるデメリットを解消するための対策を5つの視点からご紹介します。
配置や間取りを工夫する
リビング階段の配置や間取りを工夫することで、いくつかのデメリットを解決することができます。
例えば、玄関と階段の導線をできるだけ短くすることで、来客時に家族がリビングを横切る必要がなくなり、動線のストレスを減らすことができます。家族のプライバシーを確保しやすくなるため、来客の多い家庭では特に有効な工夫といえるでしょう。
さらに、階段の位置や配置を工夫することで、音やにおいの拡散を抑えることができます。たとえば、キッチンと階段の距離を離したうえで、料理中は換気扇を回す、といった対策をとることが考えられます。
階段の形状や材質を工夫する
直線階段は開放感がある一方で、安全性の面では不安が残ることがあります。小さな子どもや高齢者がいる場合は、折り返し階段や踊り場のある設計にすることで転倒時のリスクを軽減できます。
また、手すりの高さや材質にも配慮し、滑りにくい踏板素材を選ぶことが安全対策につながります。
冷暖房や断熱の工夫を取り入れる
空調効率の低下を防ぐためには、高断熱・高気密仕様の住宅設計を採用するのが基本です。断熱性能の高いサッシや窓、床や壁の断熱材の質を高めることで、上下階の温度差を抑えることができます。

また、シーリングファンを設置することで、空気の循環を促し冷暖房の効率をサポートできます。特に吹き抜け空間では、上昇した暖気を循環させることで、暖房の効率を大きく改善できます。夏場には下向きの風で涼しさを補い、冬場には上向きの風で暖気を足元に戻すという調整も可能です。
床暖房の導入もおすすめです。リビング階段では暖かい空気が上階へ逃げやすくなるため、足元からしっかり温めることが快適性につながります。
安全対策を行う
階段部分には、滑り止めシートやカーペットを敷くことで、足元の安全性を高めることができます。特に子育て世帯では、階段上部と下部にベビーゲートを設けると安心です。また、階段に明るさを確保する照明を設置すれば、夜間の事故も防ぎやすくなります。
加えて、階段の周囲に柵(パーテーション)を設けることで、小さな子どもが誤って近づくのを防ぐことができ、安全性がより高まります。見た目にも配慮したインテリア性の高い柵を選べば、空間の雰囲気を損なわずに安心を確保できます。
家族構成やライフスタイルに合わせて検討する
最も重要なのは、自分たちの暮らし方に合った設計にすることです。たとえば、子どもが小さい時期は安全性を重視し、将来的にプライバシーを確保したい場合は間仕切りの設置を想定しておくと良いでしょう。
あるいは子どもが独立した後や老後の生活を見据えたとき、階段を使う頻度が減る可能性もあります。その場合は、将来的に階段を使わずに生活できる1階完結型の間取りに変更できるようにしておく、あるいは階段下スペースを有効活用できるように備えておくと柔軟な対応が可能になります。
誰が、どの時間帯に、どのように空間を使うのかを具体的にイメージすることで、後悔のない選択がしやすくなります。
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リビング階段のメリットも知っておこう

リビング階段にはデメリットや後悔の声もある一方で、暮らしを快適にしてくれる多くのメリットもあります。うまく活用すれば、家族のつながりや住まいの魅力を高める間取りとなるでしょう。ここでは、代表的なメリットをご紹介します。
家族とのコミュニケーションが増える

リビングに階段があることで、2階に上がる・降りるたびに必ずリビングを通る導線になります。そのため、家族が自然と顔を合わせる機会が増え、コミュニケーションが生まれやすい環境になります。
思春期の子どもでも挨拶や会話のきっかけが生まれやすい点も、リビング階段の魅力です。
間取りに開放感が出る
リビング階段は吹き抜けやオープン構造と相性が良く、空間を縦方向にも活用することで、広く明るい印象の間取りを実現できます。
狭い住宅や敷地が限られた都市部の住まいでも、空間の広がりを演出できるため、コンパクトでも開放感のある設計が可能です。
おしゃれな空間づくりができる

デザイン性の高い階段(スケルトン階段やアイアンフレームなど)を採用することで、リビングの主役となるようなおしゃれな空間づくりができます。
階段そのものがインテリアの一部となり、ナチュラル・モダン・インダストリアルなど、好みに応じたテイストを反映しやすいのもメリットの一つです。
子どもの帰宅・外出を確認しやすい
リビング階段は、子どもが外出・帰宅するタイミングが自然とわかる点でも安心感があります。 玄関から自室に直行する間取りでは気づかない行動も、リビングを経由することで把握しやすく、子どもの生活リズムの変化にも気づきやすくなります。
コンパクトな間取りでも効率よく階段が配置できる
リビングの一部として階段を設けることで、廊下や階段スペースを最小限に抑えることができ、コンパクトな住まいでも有効な空間活用が可能です。
階段用に新たなスペースを割く必要がないため、限られた間取りでも居室面積を広く保つことができます。
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まとめ
リビング階段には、冷暖房や音の伝わりなどの課題があるものの、家族のつながりや空間の広がり、デザイン性といった多くのメリットも兼ね備えています。
設計時にしっかりとデメリットを把握したうえで、生活スタイルに合った工夫を取り入れることで、後悔のない快適な住まいづくりが実現できます。
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