
「ALCってどんな素材?メンテナンスは大変?」
「ALC外壁にリフォームした場合のメリットや注意点は?」
リフォームや外壁の張り替えを検討する際、「ALC外壁」が自宅に本当に合っているのか、耐久性やコスト、手入れのしやすさはどうなのかと、具体的に調べている方も多いのではないでしょうか。
ALCは高い耐久性に加え、断熱性・耐火性にも優れた人気の外壁材です。しかし、選び方や維持管理のポイントを押さえておかないと、思わぬ後悔につながることもあります。
この記事では、ALC外壁の基本的な特徴からメリット・デメリット、維持にかかる費用やリフォーム会社の選び方まで、知っておくべきポイントをわかりやすく解説します。
ALC外壁へのリフォームやメンテナンスを検討している方は、ぜひ参考にしてください。
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ALC外壁とは?特徴や見分け方を解説

ALCとは「Autoclaved Lightweight aerated Concrete(高温高圧蒸気養生された軽量気泡コンクリート)」の略称です。セメントに珪石・生石灰・発泡剤などを混ぜ、高温高圧蒸気養生という独自の製法でつくられます。内部に無数の気泡を含むため、軽量で断熱性に優れた建材として知られています。
このALCパネルを建物の外壁材として使ったものが「ALC外壁」です。鉄骨造やRC造の建物で採用されることが多く、耐火性能や耐久性に優れているのが大きな特徴です。戸建て住宅でも長年にわたり採用されてきた実績があり、現在も多くのハウスメーカーや工務店で扱われています。
ALC外壁の構造と種類(厚型・薄型パネル)
ALC外壁は、工場で製造されたパネルを現場で組み立てて施工します。内部に無数の気泡を含むため軽量でありながら、パネル自体は高い強度を持つのが特徴です。
パネルには大きく分けて2種類あります。
- 厚型パネル(厚さ75mm以上)
鉄骨造や鉄筋コンクリート造(RC造)の建物で用いられることが多く、75mm以上の厚みを持ちます。耐火性や遮音性に優れており、大規模建築にも適しています。
- 薄型パネル(厚さ35~75mm未満)
戸建て住宅向けに使われることが多く、厚さは35〜75mm程度です。軽量で施工性が高く、中古住宅の外壁リフォームでも採用されています。
建物の規模や構造に合わせて、どちらのタイプが使われるかが決まります。
ALC外壁の見分け方
確認の方法は、「図面で確認する」と「現物で確認する」の2つがあります。
図面に「パワーボード」「軽量気泡コンクリート」と記載があれば、ALC外壁を示します。これらは戸建て住宅で広く使われているALCパネルの商品名や一般的な呼称です。
現物で確認する場合は、下記の3点で見分けます。
- 目地が規則的に並んでいる
長方形のパネルを組み合わせて施工するため、縦・横に一定の間隔で目地が走っています。
- 単色カラー
ALC外壁は塗装仕上げのため、単色やツートンカラーなどシンプルな色使いが特徴です。木目調やタイル調といった複雑なプリント模様の場合、サイディングの可能性が高いです。
- 打診音が軽い
表面を叩くと軽めの音がしやすく、モルタル壁などの重い響きとは違います。
現物で判断する場合は見誤る可能性があるため、確実に知りたいときはリフォーム会社に現地調査を依頼しましょう。

ALC外壁のメリット

ALC外壁には、ほかの外壁材にはない特性があります。ここでは「安心」「快適」「耐震」という3つの視点から、そのメリットを紹介します。
- 【安心】耐火性・耐久性に優れている
- 【快適】断熱性・遮音性が高い
- 【耐震】軽量で地震に強い
【安心】耐火性・耐久性に優れている
ALCはコンクリートを主成分としているため、高い耐火性能を備えています。国内メーカーのALCパネルは国の耐火基準を満たしており、火災時にも延焼を防ぎやすい外壁材です。隣家が近い住宅地や都市部では、この性能が大きな安心につながります。
また、耐久性にも優れており、定期的に塗装やシーリングのメンテナンスを行えば、60年の長期使用も可能とされています。外壁の大規模な張り替えが少なくて済むため、将来的な修繕費を抑えたい方にとっても魅力的な素材です。
「家を建て替えるまで外壁の心配をしたくない」という方に、長く安心を与えてくれる外壁材といえます。
【快適】断熱性・遮音性が高い
ALCに含まれる気泡は、空気の層となって熱や音の伝わりを抑える役割を果たします。
夏は外の熱気を室内に伝えにくく、冬は暖房の熱を逃がしにくいため、冷暖房の効率が上がり、光熱費の削減にもつながります。
さらに、気泡の働きによって遮音性も発揮され、外の騒音を抑えて室内を静かに保ちます。道路沿いの住宅や隣家との距離が近い住宅でも、落ち着いた暮らしを実現できる点は大きなメリットです。家族がリビングでくつろぐ時間や夜間の睡眠タイムでも、性能の高さを実感できます。
【耐震】軽量で地震に強い
外壁材は重くなるほど地震時の揺れを受けやすくなります。ALCは通常のコンクリートに比べて大幅に軽く、同じ厚みのコンクリート壁のおよそ1/4の重量しかありません。見た目の重厚感に反して建物への負担が少ないため、地震による被害を抑えやすいのが特徴です。
地震が頻発する日本において、この軽さは住宅の安全性を支える重要なポイントです。建物全体の揺れを抑えることで、構造体へのダメージを減らし、長期的に安心できる住まいを維持しやすくなります。
さらに、ALCパネルは外壁材として十分な強度を持ち、割れや剥離が生じにくい点も評価されています。
ALC外壁のデメリットと対策

たくさんのメリットがあるALC外壁ですが、いくつかのデメリットもあります。導入を検討する際には、長所だけでなく短所を理解したうえで判断することが大切です。
ここでは、代表的なデメリットを「コスト」「メンテナンス」「外観」の3つの視点で紹介します。
- 【コスト】初期費用が比較的高い
- 【メンテナンス】吸水性が高く水に弱い
- 【外観】目地が多くなる
【コスト】初期費用が比較的高い
サイディングやモルタル外壁などほかの外壁と比べて、ALC外壁はパネル自体の材料費が高めです。
施工に関しても、パネルの固定に加えてシーリングや塗装といった工程が必要になり、ガルバリウム鋼板などシンプルな外壁材よりも作業の手間がかかります。そのため、初期費用は割高になりやすい傾向があります。
ただし、ALC外壁は高い耐久性を持つため、張り替えや大規模な修繕の頻度を減らすことも可能です。長期的に見れば、トータルコストを抑えやすい外壁材といえます。
【メンテナンス】吸水性が高く水に弱い
ALCは内部に無数の気泡を含むため、素材自体が水を吸いやすい性質があります。そのままでは雨水や湿気を吸収して劣化が進みやすいため、防水塗装による表面の保護が欠かせません。
一般的には、10〜15年ごとの再塗装が推奨されています。メンテナンスを怠るとひび割れや剥離につながり、補修費用がかえって高くなる可能性もあります。
ALC外壁の耐久性を活かすには「計画的な塗装メンテナンス」が必須になる点を理解しておきましょう。
【外観】目地が多くなる
ALC外壁は工場で成形されたパネルを張り合わせて施工するため、どうしても一定の間隔で目地が入ります。
木造住宅でよく使われる薄型パネルは、幅約45cm・長さ2〜3mの規格サイズが主流です。パネル幅が狭い分、目地の数が増え、外観によっては目立ちやすくなります。フラットでシンプルな外観を好む人にとっては、目地が気になる場合もあるかもしれません。
ただし、目地を目立たせない工夫もあります。ライン入りやタイル調のパネルを選べば、目地をデザインの一部として活かせます。さらに「フラット目地工法」といった施工方法を採用すれば、目地を薄く仕上げて存在感を抑えることも可能です。
デザインや施工方法の選び方次第で、ALC外壁でもすっきりとした外観を実現できます。
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ALC外壁の価格目安

既存の外壁をALCに張り替えるリフォームでは、1㎡あたり12,000〜20,000円程度が相場です。30坪住宅で外壁を一新する場合、およそ150〜250万円を見込んでおくと安心です。
構造によっては補強工事が必要となり、その分追加費用が発生する場合もあります。実際の費用は建物条件やリフォーム会社によっても異なるため、検討を始める際の目安として参考にしてください。
ALCパネルとほかの外壁材との比較
リフォームで採用される代表的な外壁材と、ALCの特徴を下記の表で比較しました。
「どの外壁材を採用するべき?」「自宅の外壁材、このままでもいい?」とお考えの方は、ご自身が重視する点に注目しながら見比べてみてください。
| 外壁材 | リフォーム費用 | 特徴・耐久性 |
| ALC | やや高い | ・耐火、断熱、遮音性能が高い ・60年以上の耐久性 (10〜15年ごとに再塗装、シーリング) |
| サイディング | 比較的安い | ・デザイン、色柄が豊富 ・耐久性は20~40年 (10〜15年ごとに再塗装) |
| モルタル | 比較的安い | ・左官仕上げで自由度が高い ・耐久性は20~30年 (10年程度で補修や塗装) |
| タイル | 非常に高い | ・高級感がある ・半永久的な耐久性 (30年程度で目地の補修) |
| ガルバリウム鋼板 | 比較的安い | ・軽量で耐震性◎ ・耐久性は20~30年 (10〜15年ごとに再塗装) |
外壁材にはそれぞれに強みと弱みがあり、どれが最適かは住まいの条件や優先したいポイントによって変わります。価格だけで判断せず、メンテナンス性や性能、デザイン性まで含めて比較し、理想の外装をつくりましょう。

ALC外壁のメンテナンス方法と費用相場

ALC外壁は耐久性に優れていますが、定期的なメンテナンスが欠かせません。塗装やシーリングの劣化を放置すると性能が低下し、雨水の侵入やひび割れといったトラブルにつながる可能性があります。
ここでは、ALC外壁で必要となる代表的なメンテナンス方法と費用の目安を紹介します。
放置するとどうなる?劣化症状とリスク
ALCは内部に細かな気泡を含むため、水分を吸収しやすい性質が特徴です。
塗装やシーリングが劣化したまま放置すると、雨水が浸入して膨張と収縮を繰り返し、パネルのひび割れや剥離を引き起こします。さらに進行すると、凍結による凍害や内部鉄筋の腐食を招き、外壁の耐久性が大きく低下してしまいます。
劣化が進んだ場合は補修範囲が広がり、修繕費用も高額になりがちです。定期的な点検を行い、早めにメンテナンスすることが建物を長持ちさせるカギとなります。
塗装メンテナンスのタイミングと費用相場
ALC外壁は表面の塗装によって防水性を維持しています。その塗膜は紫外線や風雨による影響で少しずつ劣化していきます。そのため、10〜15年ごとに再塗装し、性能を保つことが必要です。
塗装工事そのものの費用は1㎡あたり3,000〜5,000円程度で、30坪住宅(外壁面積約120㎡)なら40〜60万円ほどが目安です。ここに足場の設置、高圧洗浄、下地補修などの付帯費用が加わるため、トータルでは60〜100万円程度の費用がかかります。
シーリング補修の方法と費用相場
ALC外壁のメンテナンスというと塗装に注目しがちですが、実際にはシーリングの補修が同じくらい重要です。ALCはパネル同士をシーリング材でつなぎ合わせて施工するため、目地部分が外壁の弱点になりやすいからです。
補修方法はおもに2種類あります。
- 打ち増し
既存シーリングの上に新しく充填する方法。部分補修向きで、1㎡あたり 500〜800円 が目安。
- 打ち替え
古いシーリングを撤去して新しく充填する方法。耐久性が高く、1㎡あたり 800〜1,200円 が目安。
30坪程度の住宅の場合、目地の長さにもよりますが、10〜15万円ほどになるケースが一般的です。塗装メンテナンスを行う際には、「目地の劣化具合」についても注目し、リフォーム会社と相談しながら必要な工事を見極めましょう。
カバー工法による外壁改修と費用相場
劣化が進み、塗装やシーリング補修だけでは追いつかなくなった場合に検討されるのが「カバー工法」です。
これは既存のALC外壁を撤去せずに、その上から新しい外壁材を重ね張りする方法です。既存壁を壊さないため工期が短く、廃材処分費もほとんど発生しないというメリットがあります。
使用される外壁材は、軽量で耐久性に優れた金属サイディングが主流で、専用の金物と下地材を使って張り上げていきます。
費用は使用する製品や施工範囲によって変動しますが、1㎡あたり12,000〜18,000円程度が目安です。30坪前後の住宅では、150〜200万円程度を見込んでおくと安心です。
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ALC外壁のリフォームを成功させるポイント

ALC外壁の施工には専門的な知識や技術が必要です。費用面だけでなく、仕上がりや将来的なメンテナンス性にも大きく関わるため、リフォーム会社選びは慎重に進めましょう。
ここでは、後悔のないリフォームをするために押さえておきたい2つのポイントを紹介します。
施工実績が豊富なリフォーム会社を選ぶ
ALC外壁の施工では、パネルの固定や目地部分のシーリング処理など、細部に専門的なノウハウが求められます。
経験の浅い業者に依頼すると、施工不良から雨漏りや外観の劣化が早まるリスクもあるため注意が必要です。実績豊富な会社であれば、仕上がりの美しさと耐久性の両方が期待できます。
依頼前には、会社のホームページやパンフレットで過去の施工事例を確認し、写真だけでなく工事内容や施工規模までチェックしましょう。
さらに初回の相談時には「ALC工事の施工実績」や「年間の施工件数」を具体的にたずねると、信頼性を見極めやすくなります。
地域密着型や大手問わず、経験値の高さを確認することが大切です。
複数の見積もりを比較する
外壁リフォームは工事範囲や仕様によって金額差が大きく、同じALC外壁でも数十万円単位の差が出ることがあります。そのため1社だけで決めず、最低でも2〜3社の見積もりを比較するのがおすすめです。
比較する際は、金額だけでなく見積書の内訳が詳細か、材料のグレードや保証内容がはっきりしているかを確認しましょう。工事後のアフターフォローや緊急時対応など、安心して任せられるかどうかも重要な判断基準です。
また近年は、外壁リフォームに関する悪質な訪問販売や不当な値引きを持ちかける業者も増えています。複数社から見積もりを取ることは、適正価格を知るだけでなく、こうした悪徳業者を見抜く有効な手段にもなります。
焦らず丁寧に比較・検討し、納得感を持ってリフォームを進めましょう。

まとめ
ALCは、耐火性・断熱性・遮音性に優れたメリットの多い外壁材です。その一方で初期費用が高く、定期的な塗装やシーリング補修といったメンテナンスも欠かせません。
外壁材を選ぶ際には、費用と性能のバランスをどう考えるかが大切なポイントになります。サイディングやタイル、ガルバリウム鋼板などの外壁材と比較しながら、住まいの状況やご自身の考え方に合った選択をしましょう。
リフォーム費用の目安や必要なメンテナンス、メリットとデメリットを理解しておけば、後悔のない外壁リフォームにつながります。今回紹介した内容を参考に、ALC外壁の特徴を正しく把握し、長く快適に暮らせる住まいづくりを実現してください。
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ALC外壁に関するよくある質問
ALCの欠点は何?
初期費用が高く、吸水性による塗り替えや目地のシーリング補修などのメンテナンスが必要になる点です。
サイディングとALCのどっちがおすすめ?
重視するポイントによって、おすすめは異なります。
初期コストを抑えて、豊富なデザインから選びたい方は、サイディングがおすすめです。長期的な安心感を重視したい方には、耐久性・耐火性・遮音性のバランスがいいALCが向いています。
ALC外壁の補修は自分でできる?
細かなひび割れや劣化したシーリングの補修なら、DIYで対応できる場合もあります。しかし施工方法を誤ると内部に雨水が侵入し、劣化を早めるリスクがあるため注意が必要です。
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