小上がり和室で後悔しない!メリット・デメリットと設計ポイントを解説

更新日:2025年12月22日

更新日:2025年12月22日

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「くつろげる場所がほしい」「リビングをすっきり見せたい」といった希望から、新築やリフォームで小上がり和室を取り入れる家庭が増えています。

小上がり和室は、子どもの遊び場やワークスペースなど使い方が幅広く、床下を収納としても活用できる人気の間取りです。

ただし、段差の安全性や圧迫感、掃除のしにくさなど、採用前に知っておきたい注意点もあります。
この記事では小上がり和室のメリット・デメリットに加えて、最適な広さや高さ、収納計画、費用の目安までわかりやすく解説します。小上がり和室を導入すべきか「後悔しない判断」をしたい方は、ぜひ最後までご覧ください。

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目次

  1. 小上がり和室とは?後悔しないための基本知識
  2. 小上がり和室のメリット6選
    1. ①多目的なスペースとして使える
    2. ②気軽に腰掛けられる
    3. ③床下を収納として活用できる
    4. ④空間に立体感とメリハリが生まれる
    5. ⑤リビングのホコリやゴミが入りにくい
    6. ⑥適度な独立性を確保できる
  3. 小上がり和室のデメリット5選
    1. ①段差によるつまずきや転倒のリスクがある
    2. ②部屋が狭く感じる可能性がある
    3. ③ロボット掃除機が使えない
    4. ④一度設置すると変更が難しい
    5. ⑤床下収納を設ける場合、湿気対策が必要になる
  4. 小上がり和室の広さ・高さの決め方
    1. 【3畳】昼寝・遊び場・腰掛スペースとして
    2. 【4.5畳】来客対応・多用途に使えるスペースとして
    3. 【6畳以上】客間・ワークスペースとして
    4. 段差(高さ)の目安は30〜40cm
  5. 小上がり和室で後悔しない収納計画
    1. 収納タイプのバリエーション(引き出し・跳ね上げ式・床下収納)
    2. 収納量と利用頻度を考えた設計ポイント
  6. 小上がり和室の収納成功例と失敗例
    1. 収納の成功例
    2. 収納の失敗例
  7. 小上がり和室をおしゃれに見せるデザインのコツ
    1. 畳の種類とカラーで雰囲気を整える
    2. 照明で「抜け感と落ち着き」を演出する
    3. 窓まわり・建具で空間の統一感を出す
  8. 小上がり和室の費用はいくら?リフォーム・新築の違い
    1. リフォームで小上がり和室をつくる場合の費用相場
    2. 新築で小上がり和室を設ける場合の費用相場
    3. 追加費用が発生しやすいケース(リフォーム・新築共通)
  9. 小上がり和室で失敗しないための動線・安全性チェック
    1. 子ども・高齢者への段差の配慮
    2. 生活動線を妨げない配置のポイント
    3. 掃除のしやすさとロボット掃除機の相性
    4. 圧迫感を和らげるレイアウトの工夫
  10.  小上がり和室に関するよくある質問
    1.  小上がり和室はリフォーム・新築のどちらがおすすめ?
    2.  小上がり和室は何畳が人気?
    3.  小上がり和室にすると何が良い?
    4.  小上がり和室のデメリットは?
  11.  まとめ|小上がり和室で「くつろぎとスッキリが両立する住まい」を実現しよう

小上がり和室とは?後悔しないための基本知識

小上がり和室とは、床を一段上げて畳を敷いたスペースのことです。

一般的な和室は独立した部屋であるのに対し、小上がり和室はリビングの一角などに設けられます。家族が集まる空間の延長線上にあるため、くつろぎスペースや家事・育児のスペースなどさまざまな用途に使いやすいのが特徴です。

小上がり和室は「広めにして来客時の寝室に」「こもり感をアップして人気の『ヌック』風に」など、家族それぞれの目的や暮らし方にもフィットしやすく、多世代にわたって人気があります。

また、段差の下部を収納として使える点も魅力のひとつです。「収納を増やしたい、だけど部屋を狭くしたくない」という方にもピッタリの間取りといえます。

リビングに和室を取り入れるメリットについては、以下の記事でも詳しく紹介しています。ぜひ参考にしてください。

>>リビング和室を間取りに取り入れるメリットやおしゃれな計画方法

小上がり和室のメリット6選

小上がり和室には、マルチなスペースとして活用できたり収納を増やせたりと、日常の使いやすさにつながるメリットが多くあります。

ここでは、以下6つのメリットを紹介します。

  1. 多目的なスペースとして使える
  2. 気軽に腰掛けられる
  3. 床下を収納として活用できる
  4. 空間に立体感とメリハリが生まれる
  5. リビングのホコリやゴミが入りにくい
  6. 適度な独立性を確保できる

①多目的なスペースとして使える

小上がり和室は、日常のさまざまなシーンに使える「万能スペース」です。

子どもの遊び場やお昼寝場所としてはもちろん、洗濯物を畳んだり家事の合間にひと息ついたりする場所としても活躍します。夜は家族がテレビを見ながら横になれるくつろぎの場所になり、来客時には布団を敷いて簡易寝室にも早変わりします。

限られた面積でも多目的に活用できるため、暮らしの幅を広げやすいのが魅力です。よって、家族構成が変わっても長く使い続けられるコンパクトかつ実用的な空間として機能するでしょう。

②気軽に腰掛けられる

小上がりの段差は、腰かけやすい高さに設計することでベンチやソファ代わりになります。

床に座るよりも立ち座りが楽で、気軽に腰かけたり寝転んだりできるリラックススペースとして便利です。家族や友人がリビングに集まった際にも、腰掛ける場所が増えるため重宝します。

やわらかな畳は長時間座っても疲れにくく、読書やデスクワークも快適に行えるのが嬉しいポイントです。

③床下を収納として活用できる

小上がり和室の大きなメリットは、床下を収納スペースにできる点です。

床下全体を収納として活用できるため、大きな荷物から子どものおもちゃなどかさばる物まですっきりしまえます。

「リビングに物があふれがち」「大容量の収納スペースがほしい」と考える方にはピッタリです。小上がり和室の導入により、生活感を抑えたすっきりした空間を保ちやすくなるでしょう。

④空間に立体感とメリハリが生まれる

段差によって高低差が生まれ、部屋全体に立体感が出るのも小上がり和室の魅力です。

平面的になりがちなLDKでも視線に変化がつき、同じ広さでも「奥行きのある空間」に見せられます。小上がり部分がアクセントになり、単調に感じていた部屋にも表情が生まれます

マンションのように縦方向の変化をつけにくい間取りでも採用しやすく、住まいの印象を手軽にグレードアップできる点がメリットです。

⑤リビングのホコリやゴミが入りにくい

一段高くなっていることで、リビングのフローリングから舞い上がるホコリやゴミが和室側に入り込みにくいのもメリットのひとつです。

ねんね期・ハイハイ期の赤ちゃんが過ごす場所としても安心でき、ごろんと横になるときも気持ちよく過ごせます。

引き戸などを設けて仕切れるようにしておけば、さらにきれいな空間に保てます。「畳は掃除が大変そう」と考えている方にも、知っていただきたいポイントです。

⑥適度な独立性を確保できる

段差によって高低差が生まれるため、完全な個室にしなくても「ほどよく区切られた場所」をつくれます。

リビングにいながら少し落ち着いた時間を過ごしたいときや、読書や作業に集中したいときにも便利です。また、在宅ワークのスペースとしても役立ちます。

家族が同じ空間で過ごしながら、それぞれの時間を持てるスペースとして重宝するでしょう。

小上がり和室のデメリット5選

たくさんの魅力がある小上がり和室ですが、段差の安全性や掃除のしづらさなど、気をつけたい点もあります。

ここからは、小上がり和室の採用前に知っておきたいデメリットとその対策を紹介します。

  1. 段差によるつまずきや転倒のリスクがある
  2. 部屋が狭く感じる可能性がある
  3. ロボット掃除機が使えない
  4. 一度設置すると変更が難しい
  5. 床下収納を設ける場合、湿気対策が必要になる

①段差によるつまずきや転倒のリスクがある

小上がりの段差は便利な反面、子どもや高齢者にとってつまずきやすく、転倒につながる恐れがあります。特に、夜間や視界が悪いときは段差に気づきにくいため注意が必要です。

対策としては、段差部分に照明を仕込み、框の色を床とコントラストのある色にして見えやすさを高める方法があります。また、滑りにくい畳材を選んだり、高齢の家族がいる場合は手すりをつけたりする方法もおすすめです。

家族に合わせた工夫で、安全性を確保しましょう。

②部屋が狭く感じる可能性がある

設置する場所の広さや天井の高さによっては、小上がり和室の設置が圧迫感につながるのがデメリットです。

特に天井が低いLDKや、小上がりを設けることでLDK全体の有効面積が大きく減ってしまう場合、部屋全体が狭く感じてしまう可能性があります。

そのため、前もって図面上でリビングの機能に問題がないか、動線に不都合が生じないかを確認しておくのが大切です。リフォームの場合は、実際の設置スペースでサイズや高さをチェックしてみましょう。

また、窓際に配置して視線の抜けをつくったり、圧迫感の少ないダウンライトや間接照明を採用したりすのも効果的です。見た目の重さを軽減でき、部屋が広く感じられる空間を設計できます。

③ロボット掃除機が使えない

小上がりは、ロボット掃除機が乗り越えられない高さが一般的です。ロボット掃除機を日常的に使ってる方にとっては、別々に掃除する手間が生まれるのがデメリットといえます。実際、「ロボット掃除機を使いたいから小上がりは諦める」という方も多い状況です。

対策としては「別の掃除機を使う」「和室だけ手作業で掃除する」などが挙げられ、最もシンプルなのは「和室部分だけロボット掃除機を持ちあげて使う」という方法です。畳対応のロボット掃除機も多いため、手間を減らしたい場合はぜひ検討してみてください。

④一度設置すると変更が難しい

小上がりは、一般的に大工作業による造作工事でつくるため、家具のように気軽に動かしたり高さを変えたりできません。家族構成やライフスタイルが変わったときに、使い方を切り替えにくい点がデメリットといえます。

将来的に配置を変える可能性がある場合は、段差内部をシンプルな構造にして撤去しやすくするなど、計画段階で工夫しておくと安心です。

また、造作にこだわらないのであれば、置き型の「ユニット式小上がり」を選ぶ方法もあります。後から移動や撤去がしやすく、柔軟にレイアウトを変えたい家庭におすすめです。

⑤床下収納を設ける場合、湿気対策が必要になる

床下収納は便利な反面、通気が不足しやすく湿気がこもりやすい特徴があります。

湿気が溜まるとカビやニオイの原因になるため、換気口の設置や防湿シートの利用などの対策が不可欠です。

収納物も、湿気に弱いものや大切な衣類・書類などは避けるようにしましょう。定期的に収納スペースを開け放ち、風を通すことも大切です。

小上がり和室の広さ・高さの決め方

小上がり和室は、広さや段差の高さによって使い勝手が大きく変わります。

普段の使い方を想定し、どのくらいの面積が適しているか、段差の高さをどう設定するかを事前に考えておきましょう。

ここからは、サイズ・高さを決める際に役立つポイントをお伝えします。

【3畳】昼寝・遊び場・腰掛スペースとして

3畳の小上がりは、コンパクトながら多用途に使えるサイズです。

子どもの遊び場やお昼寝スペース、家族が腰掛ける場所としても役立ちます。リビングの一角に気軽に取り入れやすく、生活動線の邪魔になりにくい点も魅力です。

「狭めの空間だけど、畳スペースを取り入れたい」「LDKにちょっとしたアクセントを加えたい」という方におすすめのサイズです。

【4.5畳】来客対応・多用途に使えるスペースとして

4.5畳は、日常使いにも来客対応にもバランスよく使える広さです。

大人用の布団2枚をゆったり敷ける程度のスペースがあるため、来客時の簡易寝室として利用でき、家族がくつろぐスペースにも向いています。机やローテーブルを置いても余裕があり、在宅スペースやスタディコーナーとしても活躍するでしょう。

「3畳では少し物足りない」と感じる家庭にとって、暮らしの幅が広がるちょうどよい広さとして人気です。

【6畳以上】客間・ワークスペースとして

6畳以上の小上がりは、独立性の高い空間として活用できるのが魅力です。

来客用の部屋にしたり、デスクや棚を置いてセカンドリビングとして使ったりと、用途の幅が広がります。複数人で使っても窮屈にならず、ゆとりある距離感で過ごせます。

段差のある「ひとつの部屋」として成立しやすいため、リビング以外にもうひとつ居場所がほしい家庭にも向いているサイズです。

段差(高さ)の目安は30〜40cm

小上がりの段差の高さは、使いやすさと収納量のどちらにも影響します。

一般的には、30〜40cmが採用されやすい高さです。腰掛けやすく、床下を収納として活用する場合も十分な容量を確保できます。

ただし、高くしすぎると昇り降りが負担になり、リビングへの圧迫感も出やすくなるため注意が必要です。一方、10cm程度に低くしすぎると段差を認識しにくくなり、つまずきや転倒のリスクがアップします。

安全性を考えるなら、家族の身長や利用シーンに合わせて調整することが大切です。収納スペース内の有効寸法も確認しながら、ベストな高さを探っていきましょう。

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小上がり和室で後悔しない収納計画

せっかく小上がり和室を設けるなら、収納スペースの使い勝手にも配慮したいところです。

ここからは、収納タイプの選び方や、収納量と使いやすさのバランスの考え方について、詳しく解説します。

収納タイプのバリエーション(引き出し・跳ね上げ式・床下収納)

小上がりの下に設ける収納には、おもに3つのタイプがあります。

収納タイプ 特徴・メリット 向いている収納物
①引き出し式 ・前面からスライドして開くタイプ。
・開閉が軽く、日常的に使いやすい。
・子どものおもちゃ
・リビング小物
・タオル、日用品など頻繁に使う物
②フタ式
(跳ね上げタイプ)
・ガス圧金具などにより、軽い力でフタが持ち上がるタイプ。
片手でも開けやすい。
・布団
・季節家電などの大物
・使用頻度の低い物
・長期保管の荷物
③フタ式
(畳上げタイプ/床下収納)
・畳を外して収納にアクセスするタイプ。
・金具なしのシンプル構造。
設置コストを抑えやすい。

引き出し式は出し入れしやすい反面、「箱の中に箱を入れる」構造になるため、収納量にロスが出ることがあります。一方、フタ式は構造以外の床下部分を丸ごと収納として使用可能です。

スペースが広い場合は、「リビング側は引き出し式、奥はフタ式」といったように、2つのタイプを組み合わせると床下空間をムダなく活用できます。

収納量と利用頻度を考えた設計ポイント

収納をつくる際は、「何をどの頻度で使うか」をイメージしながら仕様を検討していきましょう。

よく使う物は、引き出し式にして手前に配置するとスムーズに取り出せます。反対に、季節家電や来客用の布団など使用頻度が低い物は、跳ね上げタイプや奥行きの深い床下収納が適しています。

ただし、内部を深くしすぎると取り出しにくくなるため、使う人の身長や力に合わせたバランスを考慮するのが大切です。生活スタイルに合わせて配置を決め、使い勝手の良い収納を目指しましょう。

小上がり和室の収納成功例と失敗例

「物が入りきらない」「出し入れしにくい」といった失敗を防ぐにあたって、具体的な成功例と失敗例を見ていきましょう。

収納の成功例

小上がり収納でうまくいった事例には、「使う人の動き」や「見えやすさ」をしっかり考えたケースが多くあります。

たとえば、内部に照明を仕込み奥まで見渡せるようにした事例では、どこに何をしまったか一目でわかるため、取り出し忘れや行方不明がなくなりました。

また、収納スペースを浅め・深めの2種類に分けた事例では、細かい物と大きな物を分けやすく、家族全員が迷わず片付けられる仕組みができています。

さらに、引き出しの幅をあえて狭めにした事例では、重い物を入れてもスムーズに動き、力の弱い子どもでも扱いやすくなりました。

収納の容量だけでなく、「使うときの負担の少なさ」を重視することで、小上がり和室が毎日快適に使える空間として機能します。

収納の失敗例

失敗例で多いのは、収納量だけを優先し、使いやすさを考えきれていないケースです。

たとえば、フタが重すぎて開閉が面倒になった事例では、ほとんど使わないデッドスペースになってしまいました。

また、床下収納の高さを深くしすぎた結果、物を積み重ねてしまい、下の物が取り出しにくくなるケースもよく見られます。

さらに、湿気対策をしなかったことで、収納内部に結露が発生した事例もあります。特に、布類や紙類は湿気を含みやすく、カビの原因にもつながるため対策が必須です。

このような失敗を避けるためにも、日常的な扱いやすさを考えた設計が大切です。

小上がり和室をおしゃれに見せるデザインのコツ

「畳があると和風に寄りすぎるのでは?」と考える方も多いでしょう。しかし、見た目と使い勝手の両方を意識すれば、リビングになじむ上質な小上がり和室をつくれます。

ここからは、小上がり和室をおしゃれに見せるポイントを具体的に紹介します。

畳の種類とカラーで雰囲気を整える

畳は、素材や色の選び方によって空間の印象が大きく変わります。

種類(素材別) 特徴・メリット 向いているケース
イ草畳 香りが良く、調湿性に優れる。
ただし日焼けしやすく、メンテ頻度は高め。
和の雰囲気を重視する方
和紙畳 色が豊富・日焼けしにくい・耐久性◎・水拭きOK。
小上がりとの相性が良い。
洋風LDK/デザイン性を重視する方
樹脂畳 汚れに強く、水や傷にとても強い。
子育て家庭でも扱いやすい。
ペット・子ども中心の家庭、掃除の手間を減らしたい方

一般的なイ草畳に比べ、「和紙畳」「樹脂畳」は、色味が豊富でさまざまなインテリアにも合わせやすいのが特徴です。グレー、ブラウン、カーキなど落ち着いた色を選べば、洋風のリビングとも自然になじみます。

さらにデザイン性を高めたい場合は、畳の形状にも注目してみましょう。

畳縁のない正方形の「琉球畳」は、すっきりした印象になり、小上がりをモダンに見せたいときに向いています。市松敷きにすると陰影が出て、コンパクトな空間でも奥行きのある見た目になります。

耐久性や日焼けのしにくさも踏まえて選び、長くきれいに使える小上がり和室を目指しましょう。

照明で「抜け感と落ち着き」を演出する

小上がりをおしゃれで落ち着いた雰囲気にしたい場合は、電球色のやわらかい光を使った照明が向いています。光が壁や天井に広がる間接照明を取り入れると畳の質感が引き立ち、空間に「抜け感」が生まれます。

また、和紙や竹・籐など自然素材の照明器具を組み合わせるのもおすすめです。あたたかみのあるリラックス感たっぷりの雰囲気になります。

和モダン・北欧風・ナチュラルなど、LDKのインテリアにも合わせたテイストの照明を選び、統一感のある空間をつくりましょう。

窓まわり・建具で空間の統一感を出す

小上がり和室をつくる際には、窓まわりや建具のデザインにも注目してみましょう。

一般的な洋風サッシのままだと、雰囲気が損なわれてしまいます。格子デザインや障子風の建具、フスマ調の収納扉など和の要素を含むアイテムを選び、統一感を重視しましょう。コストを抑えたい場合は、和紙調のロールスクリーンを取り入れる方法もおすすめです。

素材や色味がそろうだけで空間が一体的に見え、LDKの中でも小上がり和室がより洗練された印象になります。

和室のおしゃれな見せ方については、以下の記事でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。

>>畳を使って和室をおしゃれな空間に!人気のある琉球畳の特徴やコーディネート例も紹介します

小上がり和室の費用はいくら?リフォーム・新築の違い

小上がりの費用は、造作の規模や収納の有無、仕上げ材によって変わります。リフォームと新築では必要な工程が異なるため、それぞれの費用感と注意点を把握しておくことが大切です。

リフォームで小上がり和室をつくる場合の費用相場

既存の床に小上がり和室を増設する場合、費用相場は10〜40万円程度が目安です。

費用は、床構造の変更の有無・収納の有無・選ぶ仕様によって変わります。収納を設ける場合や、既存の床を解体する必要がある場合は高額になりやすいです。

採用する畳の種類や造作材のグレードも価格に影響しやすいため、見積もり段階で仕様を細かく確認しておくと安心です。

新築で小上がり和室を設ける場合の費用相場

新築で小上がり和室をつくる場合の費用相場は、おおよそ10〜50万円が目安です。造作の難易度や、内装材のグレードによって費用は変動します。

新築の大きなメリットは、間取りづくりの段階から小上がりを前提に計画できることです。

段差の高さ、収納の位置、窓とのバランス、階段や通路とのつながりなどをトータルで調整できるため、暮らしにフィットした形に仕上げやすくなります。

追加費用が発生しやすいケース(リフォーム・新築共通)

当初の予算から追加費用が発生しやすいポイントを把握しておくと、「思ったより高い!」という失敗を防げます。

追加費用が発生しやすいケース 内容
床補強が必要な場合 リフォーム時、小上がりの荷重に耐えるため、下地の補強工事が発生することがある
床暖房が影響する場合 床暖房パネルの移設・撤去・再施工が必要になり、費用が上乗せされる可能性がある
電気工事が必要な場合 造作の内部に電気配線が干渉し、配線やコンセントの移設が必要になると、追加の電気工事費が発生する

計画段階で、「どこまで費用に含まれているか」を見積もりで明確にしておきましょう。追加費用が発生する可能性があるか、その場合の費用目安はどのくらいかを聞いておくのもポイントです。

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小上がり和室で失敗しないための動線・安全性チェック

小上がりを快適に使うためには、生活動線や安全性への配慮が不可欠です。段差の扱い方、家具配置、掃除のしやすさなど、暮らしに直結するポイントを事前に押さえておきましょう。

子ども・高齢者への段差の配慮

小上がりの段差は、場合によってはつまずきやすくなることがあります。

特に10cm前後の中途半端な高さは見落としやすく、逆に危険が増すこともあります。使う人の年齢や動線を踏まえて、「腰掛けとして使いやすい30〜40cmの高さにする」または「あえて段差をつくらない」といった選択が必要です。

安全性を高めるためには、段差に足元灯をつけて視認性を上げる、框の色を床材と対比させて識別しやすくするなどの工夫もおすすめです。滑りにくい畳材を選び、必要に応じて手すりを設けるなど、家族に合わせた安全対策を取り入れましょう。

生活動線を妨げない配置のポイント

家族が頻繁に通るメインの動線上に小上がり和室を配置すると、動線が分断されストレスになります。リビングの隅や窓際など、動線の流れと干渉しにくい位置に設けましょう。

また、出入り口に近い位置に配置すると、腰掛けやすく日常使いもしやすくなります。

配置を決める際は、家族がどのように動くかをイメージしながら計画することが快適性につながります。

掃除のしやすさとロボット掃除機の相性

デメリットで挙げたように、段差があるとロボット掃除機が乗り越えられず、リビングと小上がりを同時に掃除できません。基本的には別々に掃除する必要があります。

掃除の頻度や方法をあらかじめ想定し、負担が少ない形で生活できるかを検討しましょう。

圧迫感を和らげるレイアウトの工夫

小上がりは高さがあるため、配置によっては部屋が狭く見えることがあります。

窓際に配置して自然光を取り入れる、框の色を周囲と近づけて境界を目立たせないなど、視覚的に軽やかに見せる工夫を採用してみましょう。

天井が低い場合は、段差を低めにしたり、和室の天井を「折り上げ天井」にしたりすることで圧迫感を抑えられます。

素材やカラーの選び方ひとつで印象が変わるため、LDK全体のバランスを見ながら調整しましょう。

小上がり和室に関するよくある質問

小上がり和室はリフォーム・新築のどちらがおすすめ?

どちらでも採用できますが、リフォームの場合は既存の間取りや床構造によってつくれる形が変わります。段差の高さや収納の有無も制約を受けるため、事前の現地調査を徹底するのが大切です。

小上がり和室は何畳が人気?

人気は3〜4.5畳です。リビングに取り入れやすく、育児スペースやくつろぎスペースとしても使いやすい広さです。客間やワークスペースも兼ねたい場合は6畳以上が選ばれます。

>>小上がり和室の広さ・高さの決め方

小上がり和室にすると何が良い?

家族が気軽に座れる「第二の居場所」ができ、収納を増やせる点がメリットです。段差で空間にメリハリが生まれ、奥行きのあるリビングづくりにも役立ちます。

>>小上がり和室のメリット6選

小上がり和室のデメリットは?

段差による転倒リスクや掃除の手間、圧迫感などがデメリットです。ただし高さ設定や照明の工夫で、使いやすさは大きく改善できます。

>>小上がり和室のデメリット5選

まとめ|小上がり和室で「くつろぎとスッキリが両立する住まい」を実現しよう

小上がり和室は、ちょっと座ったり横になったり、家族が思い思いに過ごせる「ほっとする場所」になります。段差を活かした収納を組み合わせればリビングの片付けもしやすくなり、見た目も気分もすっきりするでしょう。

ただし、広さや高さの決め方、収納のタイプ、配置の仕方によっては「思ったより使いにくい…」と感じてしまうことも多いものです。失敗を避けるためには、家族の暮らし方に合ったサイズ感や安全性、生活動線を考慮することが大切です。

ぜひこの記事で紹介した設計ポイントや失敗例を参考に、くつろぎと実用性のどちらも叶えた理想の小上がり和室を実現してくださいね。

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執筆者

中村しょう子

二級建築士・ライター。建設会社で現場監督・設計・CAD製図・積算・営業など幅広く経験。現場を知る強みを活かし、ハウスメーカーや工務店のSEO記事、建設・不動産会社の取材記事から一般向けメディア記事まで、多様な建築系コンテンツを手掛ける。

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