
家づくりの事例を見ていると、リビングの横に数段上がったスペースがあったり、吹き抜けのそばに小さなフロアが設けられていたりする住まいを見かけることがあります。こうした立体的な空間づくりに使われるのが「スキップフロア」です。
床の高さを半階ずつずらすと、同じ空間の中にさまざまな居場所が生まれます。少し上がった場所でくつろいだり、子どもの遊び場をつくったりと、暮らしの中にちょっとしたワクワク感をプラスできるのが魅力です。
一方で、「使いにくくならない?」「冷暖房の効きは大丈夫?」と気になる方もいるでしょう。
この記事では、スキップフロアの仕組みやメリット・デメリットをまとめたうえで、実際の活用例や後悔を防ぐための設計ポイントを紹介します。
スキップフロアが気になっている方や、自分たちの暮らしに合うか知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
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スキップフロアとは?

まずは、スキップフロアの特徴と、「中二階」や「ロフト」との違いについて解説します。
スキップフロアの仕組み
スキップフロアとは、1階と2階の間に半階分だけ高さをずらした床を設け、空間を立体的につなげる間取りです。
リビングの横に数段上がったスペースをつくったり、反対に少し下げたフロアを設けたりして、同じ階の中にいくつかの高さをつくります。
スキップフロアの魅力は、空間の広がりと暮らしの楽しさを同時に生み出せる点です。
段差によって空間に変化が生まれると、暮らしの中に自然と居場所が増えていきます。たとえばリビングから半階上がった場所に読書コーナーをつくったり、子どもの遊び場やスタディスペースを設けたりする使い方もあります。
また、壁で区切らなくても家族の気配が感じられるため、ほどよい距離感を保ちながら過ごせる点も魅力です。空間のつながりを感じながら、それぞれの時間を心地よく過ごせる住まいになります。
中二階やロフトとの違い
よく混同される言葉に「中二階」や「ロフト」がありますが、これらはスキップフロアとは少し意味合いが異なります。まずは、特徴を表で見てみましょう。
| 項目 | スキップフロア | 中二階 | ロフト |
| 考え方 | 階と階の間に床の高さの変化をつくり、空間を立体的につなげる間取り | 1階と2階の間などに設ける部分的な床 | 屋根裏空間を活かして設ける補助的なスペース |
| 主な目的 | 開放感の演出、空間の有効活用、居場所づくり | 限られた空間の有効活用 | 収納や簡易的な多目的スペースの確保 |
| 使い方 | スタディスペース、ワークスペース、セカンドリビングなど | 収納、作業スペース、小さな居場所など | 収納、寝具置き場、趣味スペースなど |
| 空間のつながり | 上下階や隣接空間とゆるやかにつながりやすい | 建物の一部に設けることが多い | 独立した上部空間として設けることが多い |
| 床面積・法規上の扱い | 計画内容によって床面積に含まれることが多い | 面積や高さなどの条件によって扱いが変わる | 面積や高さを抑え床面積に含まれない場合が多い |
スキップフロアは空間のつながりや開放感を生かし、「暮らしを豊かにする生活空間」として設けられることが多い間取りです。
一方、中二階やロフトは収納や作業スペースなどに使われる場合が多く、「空間を効率よく使うための実用的なスペース」といえるでしょう。
床面積や法規上の扱いも異なるため、計画時は用途と条件を確認しておくと安心です。
スキップフロアと床面積・固定資産税の関係
スキップフロアを検討する際に気になるのが、床面積や固定資産税への影響です。スキップフロアは空間を立体的に使う設計のため、「床面積として扱われるのか」と疑問に感じる方も多いでしょう。
床面積に算入されるかどうかは、建築基準法の考え方によって判断されます。
居室として利用できる高さや広さがある場合、その部分は基本的に床面積として計算されます。スキップフロアは通常のフロアと同じように使える空間であるため、床面積に含まれるケースが多いです。
一方、ロフトのような空間では「天井高さがおおむね1.4m以下」「下階の床面積の2分の1未満」といった条件を満たせば、床面積に入れずに設置できます。ただし、スキップフロアはロフトとは構造が異なるため、同じ扱いになるとは限りません。
また、固定資産税は床面積や建物評価額をもとに算定されるため、延床面積が増える場合は税額に影響が出る可能性があります。
実際の扱いは設計条件や自治体によって異なるため、計画段階で設計者や施工会社に確認しておくと安心です。

スキップフロアは魅力がたくさん!メリット5選

ここからは、スキップフロアが持つメリットを具体的に紹介していきます。
空間を立体的に活用できる
スキップフロアの大きな特徴は、床の高さをずらすことで空間を立体的に使える点です。
通常の住宅では各フロアが水平に区切られるため、空間の使い方が平面的になりやすい傾向があります。一方、スキップフロアでは上下のスペースを縦方向につなげながら、立体的に使えるようになります。
たとえば、リビング横でも作業しやすいワークスペースを設けたり、反対に少し下げて落ち着いたリラックススペースをつくったりといった活用が可能になるのです。
壁を設けずに高低差でゾーニング(空間分け)するため、視線が遠くまで通り、実際の床面積以上の広がりを感じる開放的な住まいに仕上がります。
開放的でおしゃれな空間になる
スキップフロアは段差によって空間にリズムが生まれるため、住宅のデザイン性を高めやすい間取りです。
フロアの高さを少しずつ変えることで視線の抜けが生まれ、奥行きのある空間をつくれます。
特に吹き抜けや大きな窓と組み合わせると、上下の空間がゆるやかにつながり、明るく開放的になります。リビングからスキップフロアを見上げたり、反対に見下ろしたりする視線の変化も、空間に立体感を与えるポイントです。
空間にアクセントが生まれると、住まい全体がおしゃれで印象的な雰囲気に仕上がります。立体的で明るいリビングは、来客時にも自慢したくなるような特別な空間になるでしょう。
床下を収納やキッズスペースとして活用できる
スキップフロアでは、段差によって生まれる床下部分を有効活用できます。高さが限られるため人が立って過ごす場所には向きませんが、用途を工夫すると便利なスペースになります。
特に多いのは、床下部分を収納として使う方法です。大容量の収納スペースにすれば、季節家電やアウトドア用品などをまとめて片付けられます。
リビングまわりは意外に収納が少なくなりがちなため、家族みんなが重宝する収納スペースになるでしょう。
また、段差下の囲われた空間を活かして子どもの遊び場や小さなヌックをつくる間取りも人気です。秘密基地のような落ち着く場所になるため、読書スペースやペットスペースとして活用するのもおすすめです。
家族とのコミュニケーションがとりやすい
スキップフロアの魅力のひとつは、家族の気配を感じながら過ごしやすい点です。
壁で部屋を完全に区切るのではなく、段差でゆるやかに空間を分けるため、同じ空間にいながらプライベートな時間を過ごせます。
たとえば、リビングを見渡せるスキップフロアにワークスペースを設けると、子どもが遊んだりくつろいだりしている様子を見守りながら仕事ができます。
少し高さが変わるだけで適度な距離が生まれるため、手元の資料やパソコンをのぞかれにくく、仕事にも集中しやすくなるのもメリットです。
視線は直接ぶつからないものの、声をかければすぐ会話ができる距離なので、家族みんなが安心して過ごせます。ほどよい距離感を保ちながら、自然とコミュニケーションが生まれる住まいをつくれます。
家族それぞれの居場所をつくれる
最近は、リビングの一角で仕事をしたり、子どもがダイニングテーブルで勉強したりする家庭も増えてきました。個室にこもるのではなく、家族が同じ空間で過ごすスタイルが広がっています。
スキップフロアは、こうした暮らし方と相性のよい間取りです。段差によって空間にほどよい区切りが生まれるため、同じ空間にいながら落ち着いて過ごせる居場所をつくれます。
たとえば、リビングの横に設けたスキップフロアを畳コーナーやリラックススペースとして使う方法があります。完全な個室ではありませんが、自分の時間を心地よく過ごせる場所になるでしょう。
家族と同じ空間にいながら、それぞれが好きな場所で過ごせる点は、スキップフロアならではの魅力です。
スキップフロアはやめたほうがいい?デメリット4選と対策

おしゃれで魅力的なスキップフロアですが、実際に住んでから「こんなはずじゃなかった」と後悔してしまうケースもあります。
ここでは、検討中の方が抱きがちな不安や暮らし始めてから気づきやすい注意点について、解決策とあわせて解説します。
建築費用が高くなる
スキップフロアを採用すると、一般的な2階建てに比べて建築費用が高くなる傾向があります。
床の高さを半階ずつずらす設計になるため、構造が複雑になりやすいのが理由です。柱や梁の配置に工夫が必要になるほか、段差やフロアが増えることで階段や床材などの仕上げも多くなります。
とはいえ、敷地条件によってはトータルの費用を調整しやすい場合もあります。
たとえば高低差がある土地なら、地面を削って平らにする「造成工事」の費用を削り、その分をスキップフロアの建築費に回すといった方法が検討可能です。
設計者と相談しながら、こだわりたい部分とコストを抑える部分を整理して間取りを検討していきましょう。
冷暖房効率が下がる場合がある
壁やドアで仕切らないスキップフロアは、開放感がある一方で、冷暖房の効き方に影響が出る場合があります。
暖かい空気は上に、冷たい空気は下に溜まる性質があるため、冬場に「足元だけが冷える」といった悩みを感じるかもしれません。
この問題を解決するためには、家自体の断熱性アップが重要なポイントです。外壁や窓の断熱性能を確保すると、外の寒さ・暑さの影響を受けにくくなり、どこにいても心地よい温度を保てるようになります。
加えて、シーリングファンやサーキュレーターを利用すると空気が循環しやすくなり、室内の温度差を緩和できます。
掃除が大変になる
段差が多いスキップフロアでは、毎日の掃除が少し手間に感じることがあります。
特にロボット掃除機を使っている家庭では、フラットな床面の住まいと比べて、一度にすべての場所を掃除できない不便さを感じる場面もあるでしょう。
また、階段や角の部分にはホコリが溜まりやすいため、細かな掃除が欠かせなくなります。
お手入れの負担を減らすためにも、設計段階で「掃除のしやすさ」を考慮しておきましょう。
たとえば、軽量で扱いやすいコードレス掃除機を用意したり、各階にフロアモップなどの手軽な掃除用具を常備したりすると、日常の掃除がぐっと楽になります。
将来のバリアフリー対応が難しい
スキップフロアは段差を前提とした間取りのため、バリアフリー化しにくいのが難点です。
今は元気に階段を昇り降りできていても、数十年後の将来、足腰が弱くなった時のことを考えると不安になる方もいるでしょう。
長く住み続ける家だからこそ、将来を見据えた備えが必要です。
たとえば、将来的に手すりを簡単に取り付けられるように壁の中に補強下地を入れておいたり、上下階の移動が少なく済むように水回りをまとめておいたりするのがおすすめです。
また、階段用リフトを設置できるよう空間に余裕を持たせておけば、介護が必要になった際や車椅子で生活することになった時にも安心して対応できます。
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スキップフロアの活用アイデア|間取り実例を紹介
決まった用途のないスキップフロアは、家族の暮らし方に合わせてさまざまな工夫ができるフレキシブルな間取りです。
ここでは、スキップフロアを活かした間取りの実例を5つ紹介します。
LDKを立体的にゾーニングした事例

スキップフロアを使って、LDKを立体的にゾーニングした事例です。
奥にキッチンとダイニングを配置し、そこから数段上がった位置にリビングを設けています。さらにリビングの横から2階へ続く階段が伸びており、フロアがゆるやかにつながる構成が特徴的な空間です。
ダイニングで食事をしたあと、そのまま数段上がってリビングでくつろぐといった動きが自然に生まれる間取りです。
キッチンからはリビングの様子も見渡せるため、家族がそれぞれ違う場所にいても気配を感じながら過ごせるLDKになっています。
吹き抜けに面してフリースペースを設けた事例

吹き抜けに面してスキップフロアのフリースペースを設けた事例です。
吹き抜け越しにつながるため、家族の気配を感じながら過ごせる明るく開放的な空間です。一方で、スキップフロアのまわりには腰壁があるため、適度なプライベート感やこもり感もあります。
開放感と落ち着きを両立した、居心地のよい居場所です。
まとまった広さがあるため、本棚を置いておうちライブラリーにしたり、パソコンを置いてワークスペースとして使ったりすることもできます。ソファやクッションを置けば、くつろげるセカンドリビングとしても活用できます。
多機能に使えるカウンターを設置した事例

階段の途中にスキップフロアを設け、造作カウンターを設置した事例です。
2階へ向かう動線の中ほどに少し広めのスペースを確保し、通常は移動するだけの階段にプラスアルファの機能を持たせています。
ゆったり幅のあるカウンターを設け、パソコン作業や書き物、子どもの宿題スペースなど、さまざまな用途に活用できます。キッチンにも近い位置にあるため、家事の合間の作業や、ちょっと一息つく場所としても便利です。
日常の中で自然に使える、多機能なワークスペースとして活用しやすいスキップフロアの例です。

フロアを張り出してアクセントにした事例

リビングの床を一段下げて、空間に変化をつけた事例です。
ダイニング側のフロアがリビングに向かって張り出す形になっており、コンクリートの側面がインテリアのアクセントとして映えています。
段差によってリビングがゆるやかに区切られるため、同じ空間の中でも落ち着いて過ごせる居場所になります。床を下げることで天井までの高さにも余裕が生まれ、ゆったりとした開放感を感じられる点も魅力です。
スキップフロアは上に上がる構成だけでなく、このように床を下げることで空間にメリハリをつくる方法もあります。段差そのものをデザインとして活かした、印象的なリビングのつくり方です。
家族の気配を感じるワークスペースを設けた事例

スキップフロアにワークスペースを設けた事例です。
カウンターのまわりを腰壁が囲うレイアウトになっており、落ち着いて作業に集中しやすい空間になっています。コンパクトなスペースですが、カウンターを設けることでパソコン作業や書き物などに使いやすいワークスペースになります。
LDKを見渡せ、声をかければすぐに会話ができる距離感が魅力のレイアウトです。家族と同じ空間にいながら仕事や作業ができる、スキップフロアの特性を活かしたワークスペースといえます。
こんな家におすすめ!スキップフロアに適した条件

スキップフロアは工夫次第でどんな住宅にも取り入れられますが、段差の特性をより活かしやすい敷地条件や住宅の構成があります。
ここでは、具体的な条件について解説します。「土地条件が悪くて、理想の家づくりが難しそう」とお悩みの方こそ、ぜひ参考にしてください。
狭小地・変形地
都心部などの限られた敷地では、部屋数を確保しようとすると、どうしても壁が多くなり圧迫感が出てしまいがちです。
そんな狭小地こそ、スキップフロアがおすすめです。
壁で仕切る代わりに段差で空間を分ければ、視線が斜め上に抜けていくため、実際の面積以上の広がりを感じられます。
三角形や細長い形をした変形地でも、土地の形状に合わせてフロアを細かくずらして配置すれば、無駄になりやすいスペースを減らしながら有効活用できます。
悪く見える条件を逆手に取って、個性的でワクワクする空間をつくれるのは、狭小地ならではの楽しみといえるでしょう。
高低差がある土地・傾斜地
道路から敷地が一段高くなっていたり、斜面になっていたりする土地は、一見すると家を建てるのが難しそうに見えます。
しかし、もともとの段差をそのまま家の中の「床の高さ」として取り入れられるのが、スキップフロアの魅力です。
たとえば、低い位置にある道路側にはガレージを設け、半階上がった場所に玄関やリビングをつくれば、土地の起伏に寄り添った住まいが完成します。
条件次第では、外からの視線を自然に遮りつつ、斜面ならではの眺望を家の中に取り込めるようになるでしょう。土地を平たんにする造成費用を抑えられるのもメリットです。
斜線制限がかかる場合
住宅密集地では、隣の家の日当たりを守るために「建物の高さを制限するルール」があります。この「斜線制限」により、3階建てを諦めたり、屋根の形を不自然に削らなければならなかったりするケースも多いものです。
しかし、スキップフロアなら全体の高さを微調整できるため、制限をギリギリでかわしながら必要な床面積をしっかり確保できます。
削られて天井が低くなってしまった場所も、スキップフロア構造の「床下収納」や「ベッドスペース」として活用すれば、無駄なデッドスペースになりません。
法律による厳しい制限をクリアしつつ暮らしの質を落とさないための、現実的な工夫のひとつといえます。
平屋を立体的に使いたい場合
最近人気の平屋ですが、「平面的で単調な間取りになる」と悩む方も多いようです。
平屋にスキップフロアを取り入れると、ワンフロアの暮らしやすさはそのままに、縦の空間を活かした立体感のある住まいをつくれます。吹き抜けや勾配天井も、より魅力的に映えるでしょう。
たとえば、リビングの一角を少し高くしてキッズスペースにしたり、その下を大容量の収納にしたりすれば、平屋でありながら2階建てのような多層的な暮らしを楽しめます。
視線の高さが変わることで、同じフロアにいても家族が程よい距離感で過ごせる、現代的な平屋のスタイルが実現します。
開放的な間取りにしたい場合
とにかく明るく、風通しの良い家に住みたいという方にも、スキップフロアはぴったりです。
フロア同士がゆるやかにつながっているため、窓からの光やエアコンの心地よい風が、家中の隅々まで届きやすくなります。
吹き抜けと組み合わせれば、家全体がひとつの大きな空間のように感じられ、どこにいても家族の気配を感じられる住まいになります。
視覚的な壁を取り払い開放感を追求したい方にとって、段差で空間をデザインするスキップフロアは、理想のイメージを形にしやすい間取りです。
スキップフロアで後悔しない間取りのポイント

「おしゃれな空間に惹かれてスキップフロアを選んだものの、いざ住んでみると使いこなせない…」
そんな後悔をしないためには、設計の初期段階で「毎日のリアルな暮らし」を具体的にシミュレーションするのが何より大切です。
ここでは、スキップフロアの魅力を最大限に引き出しつつ、失敗を防ぐためのポイントをお伝えします。
活用シーンを具体的にイメージする
「なんとなくスキップフロアをつくりたい」という動機だけで進めると、完成した後に「ただの通り道になってしまった」という結果になりがちです。まずはその場所で、誰が何をするのかを具体的にイメージしてみましょう。
たとえば、「週末に子どもと一緒に読書をする場所」「キッチンから少し離れて集中できる仕事場」「趣味のキャンプ用品を広げる場所」など、目的を明確にすると必要な広さや高さが決まります。
設計の打ち合わせでは、「ここには何を置くのか」「どんな姿勢で過ごすのか」をくわしく設計担当者と話し合ってみましょう。この段階を丁寧に進めていくと、本当に使い勝手の良い居場所をつくれます。
家事動線・生活動線に配慮する
スキップフロアのある家では、階段の昇り降りが頻繁に発生します。
重い洗濯物を持って移動したり、掃除機を抱えて段差を往復したりする動作が、毎日のストレスにならないよう動線を徹底的にシミュレーションしましょう。
キッチンからダイニングへの配膳がスムーズか、あるいはゴミ出しの際に何度も階段を通らなくて済むかなど、日々の家事の流れを間取り図の上でなぞってみるのが大切です。
移動の負担を最小限に抑えられれば、スキップフロアが生む立体的な楽しさを、無理なく日常に取り入れられます。
断熱・空調計画をセットで考える
壁が少なく、空間が大きくつながるスキップフロアは、家中の温度を一定に保つのが難しい一面を持っています。
冬場に暖かい空気がすべて上のフロアに逃げてしまい、家族が集まるリビングが冷え込んでしまうといった事態を防ぐためには、設計初期からの空調計画が不可欠です。
家全体の断熱性能を引き上げるのはもちろん、空気を効率よく循環させるシーリングファンの設置や、全館空調の導入などを検討してみましょう。
どこにいても温度差を感じない快適な環境が整ってこそ、スキップフロアの開放感をより快適に活かせます。
収納計画と一体で設計する
スキップフロアの魅力のひとつは、段差の下に生まれるデッドスペースを有効に使える点です。
このスペースをあらかじめ大容量の収納として計画に組み込んでおけば、居住エリアに物が溢れるのを防ぎ、常にすっきりとした空間を保てるようになります。
特に、天井高を1.4m以下に抑えた収納は床面積に算入されないケースが多く、固定資産税の負担を抑えながら収納力を増やせる嬉しいメリットがあります。
何をどこにしまうかというルールまで含めて設計段階で決めておけば、家全体の使い勝手も格段にアップします。
スキップフロアは後付け・リフォームでも設置できる?

「今住んでいる家をスキップフロアにしたい」と考える方もいるでしょう。リフォームで実現できれば、暮らしの楽しみが大きく広がります。
ここでは、リフォームでスキップフロアを設置できるケースと、検討する際の注意点について説明します。
リフォームで設置できるケース
次のように、縦方向の空間に余裕がある家なら、スキップフロアを後付けできる可能性が高いです。
- 吹き抜けがある
- 勾配天井になっている
- 天井高さが3m以上ある
たとえば、吹き抜けの一部に床を張り出させて新たなフロアをつくったり、大きなワンルームの一部に段差を設けて小上がりのようなスペースを設けたりするリフォームです。
こうしたケースでは、大掛かりな構造変更をせず、比較的スムーズに工事が進められる場合もあります。
また、床下に十分な高さがある場合、一部の床を下げてダウンフロアにするリフォームも可能です。
ただし、こうしたリフォームは住宅の構造や劣化状況によって大きく左右されます。計画を進める前に、専門家による現地調査を行ってもらいましょう。
リフォームで検討する場合の注意点
スキップフロアを設けるリフォームで最も注意すべきなのは、家全体の「耐震性」への影響です。
スキップフロアは床の高さがバラバラになるため、地震の揺れが複雑に伝わりやすくなります。もともとフラットな床で支えていた構造を壊して段差をつくる場合は、壁を補強するなどの追加工事が必要になるケースも多いです。
また、リフォームによって床面積が増える場合は、増築の申請(確認申請)が求められることもあります。確認申請を行う場合はコストや工期が余分にかかってしまうため、まずはリフォームの実績が豊富な会社に相談しましょう。
「耐震性を確保しながら、おしゃれなスキップフロアを設けたい」とお考えの方は、信頼できるリフォーム会社へ相談することが何より大切です。
TOPPANが運営する「リフォトル」では、国交省登録団体に所属するリフォーム会社のみを厳選して無料でご紹介しています。「地元の会社に頼みたい」「複数社を比べたい」という方にもおすすめです。
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スキップフロアに関するよくある質問
スキップフロアの欠点は何?
スキップフロアは空間を立体的に使える一方で、段差が増えることで掃除や移動が少し手間に感じることがあります。
また、構造が複雑になるため建築費用が高くなるケースもあります。日常的な活用シーンと将来のバリアフリー対応も考えながら、使い方や間取りを検討していきましょう。
スキップフロアの固定資産税はどうなる?
スキップフロアは通常のフロアと同じように使える空間であるため、多くの場合は床面積として扱われます。そのため延床面積が増えると、固定資産税の評価額に影響する可能性があります。
実際の扱いは設計条件や自治体によって異なるため、事前に確認しておくと安心です。
>>スキップフロアと床面積・固定資産税の関係
スキップフロアは危ない?
スキップフロアは段差があるため、安全性が気になるという声もあります。特に小さな子どもや高齢者がいる家庭では、転倒・転落のリスクを心配する方も多いです。
ただし、段差の高さや形状を適切に計画すると、安全性を高められます。階段や段差の位置を見やすくし、誰でも握りやすい手すりの位置や素材を選ぶと、移動時の安心感が高まります。
設計段階で安全面に配慮した計画を行うと、段差のある空間でも安心して生活できる住まいになります。
まとめ|スキップフロアのメリット・デメリットを理解して理想の家づくりを実現しよう
スキップフロアは、床の高さをずらすことで空間を立体的に活用できる間取りです。
実際の床面積以上の広がりを感じられる点や、家族それぞれの居場所をつくりやすい点など、たくさんの魅力があります。リビングとつながるワークスペースや収納スペースなど、暮らし方に合わせた空間づくりができる点も特徴です。
一方で、コストや掃除の手間、将来のバリアフリー対応など事前に向き合っておくべき現実的な課題もあります。こうした特徴を理解したうえで計画すると、後悔の少ない住まいづくりにつながります。
大切なのは、憧れのデザインだけでなく、数十年後の暮らしまでを具体的にイメージすることです。メリットとデメリットを理解し、自分たち家族にとって本当に心地よい住まいの形を考えてみましょう。
国土交通省登録団体の構成員を中心としたリフォーム会社をご紹介!
執筆者
中村しょう子

二級建築士・ライター。建設会社で現場監督・設計・CAD製図・積算・営業など幅広く経験。現場を知る強みを活かし、ハウスメーカーや工務店のSEO記事、建設・不動産会社の取材記事から一般向けメディア記事まで、多様な建築系コンテンツを手掛ける。
