Topics

サーフェスデザインに関する情報などを随時配信

C-lab. Topics

  • TOP
  • C-lab. Topics
  • 「人・時・場を“つなぐ”」東京駅直結の大規模複合再開発「TOFROM YAESU TOWER」 C-lab. デザインレポート!

2026-09-16

「人・時・場を“つなぐ”」東京駅直結の大規模複合再開発「TOFROM YAESU TOWER」 C-lab. デザインレポート!

2026年9月10日に開業した、東京駅直結の大規模複合再開発「TOFROM YAESU TOWER」。
C-lab.メンバーのKさんとSさんが、開業に先立って開催された特別内覧会を訪れました。今回は、2人が現地で見つけた空間づくりの工夫を、対話形式でご紹介します。
最新の大型施設のコンセプト「人・時・場を“つなぐ”」を具現化する新たな仕掛け、こだわりの*CMF+Pにフォーカスします。
*CMF+Pとはサーフェスデザイン(表層のデザイン)におけるColor(色)/Material(素材)/Finish(仕上げ)/Pattern(柄)を指し、これらのデザイン動向を調査することで現状を把握し、これからの兆しを探ろうという視点です。

「TO / FROM」コンセプトに込められた思い

Sさん)説明会は東京建物株式会社の小澤さんの挨拶から始まりました。開発に要した期間が四半世紀に及ぶ大プロジェクトであったとお聞きし、驚きました。

Kさん)そうですね、昨今の地震や豪雨による被災地域、近年の自然災害にも触れながら、都市防災の重要性と再開発の意義を結びつけて語られていたことも印象に残りました。

Sさん)建築資材、人件費の高騰の影響もあり、各地で再開発事業の延期や白紙化が報道されることもありますよね……。

Kさん)そんな逆風の中での東京・八重洲での長年にわたるプロジェクト。施設名「TOFROM」に込められた八重洲へ(To Yaesu)向かう思い、八重洲から(From Yaesu)新しい息吹を発信する思いが強く感じられました。

Sさん)外観のデザインについてのお話では「箱積みのデザイン」というワードが印象的でした。新施設の『らしさ=多様な個性の集積』を建築全体で表現する試みとして、それぞれ素材や色、形状が異なる「箱」を積み上げたような外観構成が特徴的ですね。内覧会前に駅のグランルーフから全体を見たのですが、個性的な外観デザインの意味がよく分かりました。

Kさん)八重洲エリアに元々あった様々な業種の個性的な店舗の連なり、それらの魅力が個性あふれる立体的な外観デザインで表現されていましたね。

Sさん)吹き抜け大空間に「結び目」をモチーフにした大きなロゴデザインが掲げられており、コンセプトである「人・時・場を“つなぐ”」、多様な価値観を“つなげていく”という想いが伝わってきました。

Kさん)“つなげていく”という点で、低層階での「外から内へのつながり」が従来の施設と違うところもユニークでしたね。

Sさん)そうですね。周囲の歩道には所々にベンチ、スツールが設けられ、階段やエスカレーターで2階へ上がり、施設内へアプローチできるんですよね。

Kさん)いったん施設内へお客さまを迎え入れ、内部のつながりで各階を移動する構造と違い、2階の店舗も歩道とつながっている路面店のような感覚がありますね。自由に出入り出きる気安さ、気軽さ、敷居の低さみたいな感じが良いですね。施設に面した桜通りからのアプローチ、春の桜の季節に訪れるのも楽しみです。

八重洲の記憶を辿る8つのアートシーン

Sさん)映画監督の岩井俊二さんが書き下ろした物語『人魚の街』をベースにしたパブリックアートプロジェクトも、特別内覧会前からすごく楽しみにしていました!

Kさん)このプロジェクトではアートを単に『点』として展示するのではなく、岩井監督の紡いだ物語が建築の「線」となって空間全体に連鎖・接続しているのがポイント。ビル全体をひとつの「物語空間」に変えるという意欲的なプロジェクトとして紹介されていましたね。

Sさん)館内を巡りながらアートを探すのも楽しそうだし、知らず知らずのうちにアートに出会う、そんなシーンもありそうですよね。

Kさん)岩井監督が提示したストーリーを、8組のアーティストがそれぞれの解釈で「光」「金属」「映像」などの素材へ昇華させています。例えば1Fの小林博人さんの大型壁面アートは、無数のステンレスパネルで構成されていて、パネルが風を受けて揺れることで光を反射し、物語に欠かせない『水の表情』のひとつである『水面の揺らぎ』を創出しているとのこと。登場人物の心の動きが感じられ、共感できる素敵な作品だと思います。

Sさん)風という環境変化とステンレスの質感が生み出す光の表情によって『人魚の街』の一コマを空間に立ち上げているんですね。他のアート作品もそうですが、単なる装飾ではなく、CMF+P、サーフェスデザインが行き交う人々に物語を体験させている点が面白いですね。

Kさん)さらにWebサイトなどのデジタル領域でもストーリーテリングが補完されているから、リアルとデジタルが滑らかに交錯する体験ができるのも見どころですね。

街とのつながり、八重洲の歴史をつなぐ

Kさん)C-lab.が毎年実施している「店舗・施設調査」の今年度スペーストピックスで取り上げた「回遊性」「流動性」「シームレス」というキーワード、「まちとのつながり」は、ここ「TOFROM YAESU TOWER」でも周辺の主要な4つの通りをスムーズに結ぶ吹き抜け通路に色濃く表れていました。

Sさん)八重洲仲通りと並行して施設内を貫く通路と、それに交差する2本の通路ですね。どの通路も意匠を凝らした壁面が魅力的でした。

Kさん)これらの通路がまちの動線をシームレスにつなぎ、快適で自然な回遊性を持たせていると同時に、壁面の空間演出が実に秀逸でした。

Sさん)大壁面は縦に区分けされていて、照明を備えた各ショーケースには、木材の切りっぱなしの輪切りから伝統的な加工・仕上げ技術まで、大胆かつ繊細に順々に展示されていました。

Kさん)ショーケースに収められた一例を紹介すると、プリミティブな丸太、へぎ板の連なり、ラフで大胆な凹凸形状、リズミカルな鎌倉彫りの風合い、焼き杉、練付板(突き板)の放射デザイン貼り、網代天井、欄間に見られる精密な彫刻や組み木の陰影、象嵌手法など……。国内外の木材を用い、加工、仕上げ、職人の手業の歴史を垣間見るような壁面は圧倒的でしたね。

Sさん)内覧会資料によると江戸時代の八重洲一丁目界隈には檜(ひのき)の木工品を製作する大工さんや木地屋さんが多く暮らし、江戸城や武家、町人の暮らしを「木工技術」で支えていたとのこと。その歴史へのオマージュなのですね。

Kさん)“NEW & CLASSIC” “古き良きと新しい東京の融合”というコンセプトが素直に感じられる演出でした。外堀通りと八重洲仲通りをつなぐもう一つの通路は、多種多様な壁面意匠が大小様々な額縁でコラージュされた鮮やかな空間となっています。土壁の仕上げ、左官技術、和紙、織物、染色技術、金箔の繊細な加工、さらには金属加工技術や樹脂のグロス仕上げまで網羅されていましたね。

Sさん)天井にランダムに配置された鏡面に、多様な素材・模様の壁面や行き交う人々が映り込み、混ざり合う様子も「八重洲の交流の歩み」を感じさせる素敵な演出でした。

 

路地裏の賑わいを今に、CMF+Pトピックス

Sさん)地下のバスターミナルから上階へ進むと、2階には専門店ゾーン『YAESU 東京界』が広がっています。現代的なビルの中に路地裏のような小路や横丁の雰囲気が再現されていて、旅行者もワーカーも引き込まれて交差し、自然に交流が生まれていく感じがします。

Kさん)八重洲界隈が本来持っていた「路地裏文化」を現代に再解釈する試みで、壁で区切るのではなく、オープンな設計にして人の流れを導く。路地裏のつながりで多様な人が行き交う場、そんな光景が目に浮かびましたね。

Sさん)空間設計の面白さだけじゃなく、CMF+Pの視点でも参考になりました。 人々が行き交うエリアの床にはスーツケースや多くの歩行による摩耗にも強い高硬度素材が使用されていますよね。あえて斑点模様や自然な焼きムラ(色ムラ)がある素材を選ぶことで、細かい傷や微細な汚れが視覚的に目立ちにくいという狙いが感じられました。

Kさん)CMF+Pの選び方が巧みでしたね。清掃性の高いセラミックタイルや金属(スチールやステンレス)をベースにしつつ、カウンターや什器の仕上げには「木目(ヒノキなど)」や「和紙・壁面のテクスチャー」をミックス。異素材を組み合わせることで無機質にならず、程よいコントラストによって、深みのある空間をつくっていたのも印象的でした。

Sさん)下町風情あふれる「路地裏の親しみやすさ」を出しつつ、素材の選定と中間色で「長く使い続けられる耐久性」と「高級感」も感じさせる空間も多かったです。人流の激しい八重洲のパブリック空間のCMF+Pのあり方としてすごく納得がいきました。

Kさん)過酷な使用環境に耐えうる「機能性」と、空間の記憶を紡ぐ「デザイン性」の両立。伝統素材と工業製品のミックスも自然で、八重洲の「古くて新しい街」の顔にふさわしい素材の落とし込み方だと感じました。

店舗・施設調査2026/無料オンラインセミナーのお知らせ

Kさん)ここまで『TOFROM YAESU TOWER』の空間づくりを見てきました。今回取り上げたような最新施設のデザイン動向を、さらに詳しくご紹介するオンラインセミナーを開催します。

Sさん)9月30日(水)の無料オンラインセミナーのことですね。

Kさん)はい。9月30日(水)の12:00〜13:00、お昼休みの時間帯に開催いたします。

Sさん)気になるセミナーのタイトルと内容はどのようなものでしょうか?

Kさん)タイトルは「大型施設・ショップ・ホテル空間トレンドレポート2026」です。最新のデザイン動向を2部構成でお届けします。第1部では、直近1年以内に主に首都圏にオープンした大型施設(「TOFROM YAESU TOWER」の様子ももちろん)、ショップ、ホテルなどの空間のコンセプトやインテリアのサーフェスデザインのCMF+P(Color/Material/Finish/Pattern)の傾向を分析・考察します。C-lab.が2010年から毎年オリジナルで実施している「店舗・施設調査」からの抜粋データに加え、今回はグローバル取材からのトピックスも交えてレポートします。

Sさん)海外のトピックスも盛り込んじゃうんですね!それは楽しみです。

Kさん)第2部では70年に及ぶTOPPANの化粧シートの企画開発を支えてきた原素材(木材や石材、メタル、レザー等)や、空間を演出する各種インテリア小物等を集め、素材起点でクリエイティブな発想を促すTOPPANの新施設「surface park®  / サーフェスパーク」のご紹介と、コマーシャル(非住宅)市場向けのオリジナル製品をご案内いたします。

Sさん)「surface park®」は千葉県柏市に昨年8月のオープン以来、多くの来場者をお迎えしているユニークな施設ですね。ぜひ多くの方に聴いていただきたい内容です。

Kさん)ご参加いただく皆様のお役に立てるよう、現在鋭意資料を作成中です!

Sさん)C-lab.トピックスを読んでいただいた皆様、ぜひセミナーへのご登録をお願いいたします。

Kさん)皆様のご参加を心よりお待ちしております。当日、オンラインでお会いしましょう!お楽しみに!

Contact

デザイン課題を気軽に相談

無料カウンセリング実施中!

お問い合わせはこちらから