
「古民家暮らしが憧れだけれど、リノベーションには一体いくらかかるのだろう」と、期待と不安を抱えながらこの記事に辿り着いた方も多いのではないでしょうか。
古民家は物件価格が安いイメージがある一方で、工事費が高額になる場合もあり、全体像が見えにくいのが実情です。さらに、見積もりには含まれない追加費用が発生し、予算オーバーにつながるケースもよくあります。
この記事では、古民家リノベーションの費用相場や内訳を整理しながら、見落とされがちな「見えないコスト」についても具体的に解説します。
「コストを抑えて古民家をリノベーションしたい」「まずは大体の費用を知りたい」とお考えの方は、ぜひ参考にしてください。
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古民家リノベーション費用はいくら?まずは全体像をチェック

古民家リノベーションにかかる費用は、1,000〜3,000万円程度がひとつの目安です。
ただし、建物の状態や工事範囲によって差が大きく、同じ「リノベーション」でも金額には幅があります。たとえば、傷んだ部分の補修だけで済む場合は500万円前後で収まるケースもありますが、構造補強や間取り変更を伴う場合は2,000万円を超えることも多いです。
古民家は「安く手に入る」というイメージが先行しがちですが、実際には工事費の割合が大きくなりやすい傾向があります。まずは費用の全体像をつかみ、「自分が検討している内容がどの価格帯に当てはまるのか」を確認しておくと、予算の見通しが立てやすくなるでしょう。
「一般的な戸建てのフルリフォームにかかる費用を知りたい」とお考えの方は、以下の記事をご覧ください。
>>【2026年最新】一戸建てフルリフォームの費用相場|築年数・工事内容別の目安と総額を紹介
古民家リノベーションが得意な会社をご紹介!
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【規模別】古民家リノベーション費用の平均・相場
一口に古民家リノベーションと言っても、その内容は多岐にわたります。建物の状態やどこまでこだわるかによって、最終的な金額は数百万円から3,000万円以上と大きな幅が生まれるのが実情です。
ここでは、金額の目安ごとに、どのような工事ができるのかを具体的にみていきましょう。

予算500万円以内での改修は、おもに「今すぐ住める状態にする」ための部分的なリフォームが中心となります。古民家の味わいを活かしつつ、キッチンやトイレなどの水回り設備の一部刷新や、剥がれた壁の塗り替えといった表面的な改修がメインです。
構造的な補強や断熱改修までは手が回らないケースが多く、DIYを積極的に取り入れてコストを抑える工夫も求められます。
週末利用のセカンドハウスや、建物の状態が極めて良好な場合に適した予算帯といえます。
快適に住むための改修|1,000万円前後

1,000万円前後の予算があれば、生活の質を左右する「水回りの全面刷新」と「一部の断熱・耐震補強」が可能になります。特にお風呂やキッチンの位置を変えて使い勝手を向上させるなど、現代的なライフスタイルに合わせた間取りの工夫も検討できるラインです。
工法としては「一般的なリフォーム」に近い形になります。内装の多くを新しくできるため、古民家特有の「寒さ」や「不便さ」を解消し、日常的に心地よく暮らせる住まいへと進化させられます。
フルリノベーション|2,000万円以上

2,000万円以上の予算を投じるケースでは、建物の骨組みだけを残して解体する「スケルトンリフォーム」が視野に入ります。耐震性能を新築基準まで引き上げ、家全体の断熱材を入れ替えれば、地震に強く冬でも暖かく過ごせる住宅性能を確保できます。
間取りの自由度も格段に上がり、吹き抜けをつくって立派な梁を見せるといったプランも取り入れられるでしょう。
古民家ならではの美しさと現代の機能性を高いレベルで両立させたい方に選ばれる、最もボリュームの多い価格帯です。
移築・再生レベル|3,000万円以上

3,000万円を超える改修工事では、基礎からつくり直す全解体再生や、別の場所へ建物を移す「移築」などが対象となります。歴史的価値の高い建物を次世代へ残すための構造的な大規模工事に加え、素材や納まりにこだわった建具や仕上げ、設備を組み合わせるのも可能です。
ただし、このレベルの工事は内容によって費用の振れ幅が大きくなります。劣化状況・解体範囲・使用する素材・工法の選択によっては、一般的なリノベーションの枠を超え、さらに高額になるケースもあります。
特に、伝統的な工法を重視する際には、対応できる職人の確保自体が難しく、工程やコストに影響する場合も多いです。解体時に新たな補修箇所が見つかるなど、想定外の追加工事が発生しやすい点にも注意が必要です。
新築以上のコストがかかることもありますが、その分、建物の価値や背景を受け継ぎながら再生できるのが大きな魅力です。単なる住まいづくりにとどまらず、「残す」という選択を実現するための手法といえるでしょう。

何にどれくらいかかる?古民家リノベーション費用の内訳

全体像を把握した後は、具体的な費用の内訳を見ていきましょう。何にどれだけの費用が配分されているかを知れば、見積書を見た際に「どこを削り、どこに投資すべきか」という優先順位が付けやすくなります。
ここでは、標準的なリノベーションで発生するおもな費用項目について解説します。
| 項目 | 費用目安 | 役割・位置づけ |
| 耐震補強・構造補修 | 200〜400万円 | 建物の安全性を確保する最優先項目 |
| 断熱工事 | 150〜300万円 | 快適性・光熱費に影響 |
| 水回り改修 | 300〜500万円 | 生活満足度に直結 |
| 内装・外装 | 100〜300万円 | 見た目・仕上がりを整える部分 |
| 設計・諸経費 | 工事費の10〜20% | 計画・調整・付帯費用として必要なコスト |
耐震補強・構造補修費
古民家リノベーションで最も重要度が高いのが、構造部分の補修です。
築年数が古い建物では、柱や土台に劣化が見られ、そのままでは安心して住み続けるのが難しい場合もあります。現在の耐震基準を満たしていないケースも多く、補強工事はほぼ前提と考えておくとよいでしょう。
具体的な内容としては、昔ながらの石場建て(基礎と建物が固定されていない構造)をコンクリートの布基礎(建物の下に連続して設ける基礎)につくり替えたり、壁に筋交いや合板を入れて強度を高めたりする工事が挙げられます。
費用は状態によって幅がありますが、200〜400万円程度がひとつの目安です。傷みが大きい場合や、間取り変更を伴う場合はさらに上がることもあります。
この費用を惜しんでしまうと、地震への不安が消えないだけでなく後の内装工事が無駄になるリスクもあるため、最優先で予算を確保すべき項目です。
断熱工事費
古民家は断熱性能が低いケースが多く、住み始めてから「思っていた以上に寒い(暑い)」と感じるのは、よくある後悔のひとつです。
「暖房をつけてもなかなか室温が上がらない」「窓まわりに結露が出る」といった状態は、快適性を下げるだけでなく、光熱費の増加にも直結します。さらに、結露はカビの発生を招き、健康面への影響も無視できません。
断熱工事では、壁・天井・床下に断熱材を入れるほか、熱の出入りが大きい窓をペアガラスや二重サッシに交換するなどの対策を行います。住まい全体の性能を底上げする場合、費用は150〜300万円程度が目安です。施工範囲や仕様によって金額は変わります。
断熱は見た目では分かりにくい部分ですが、対策しておけば古民家暮らしの満足度が大きくアップするでしょう。計画段階で優先的に検討しておきたい項目です。
水回り(キッチン・風呂・トイレ・洗面台)改修費
水回りは、日々の使い勝手や快適性に大きく影響する部分です。古民家では設備が古いまま残っているケースも多く、配管ごと交換が必要になる場合もあります。
キッチン・浴室・トイレ・洗面台を一式更新する場合、費用は300〜500万円程度がひとつの目安です。ただし、建物の状態や工事内容によって変動が大きく、想定より高くなることもあります。
特に浴室は、昔ながらの在来工法(タイル張り)のまま残っているケースだと、ユニットバスへの入れ替えには想定以上の手間がかかります。解体してみると下地が傷んでいたり、防水処理をやり直す必要が出てきたりと、工期や費用が膨らみやすい部分です。
まずは専門業者に現地調査を行ってもらい、製品選びを進めるよりも「どのような工事が必要になるか」を先に考えるのが大切です。
内装・外装リフォーム費
床・壁・天井の仕上げ、外壁や屋根の補修など、見た目を整える工事も費用の中で一定の割合を占めます。古民家らしい雰囲気を残すのか、現代的に仕上げるのかによっても内容は変わります。
費用の目安は100〜300万円程度です。
ただし、素材にこだわる場合や範囲が広い場合はさらに上がります。たとえば、無垢の床材や塗り壁(漆喰・砂壁・土壁など)を採用すると、古民家ならではの趣が出る半面、工事費はアップします。
見た目に関わる部分はつい優先したくなりますが、耐震補強や断熱強化とのバランスを見ながら進めるのが大切です。仕上げは後から調整しやすいという点も踏まえて検討すると、全体のバランスが取りやすくなります。
設計・諸経費
見落としやすいのが、設計料や諸経費です。
古民家リノベーションでは、既存建物の状態を把握し、適切な改修計画を立てる必要があるため、建築士による設計の重要性が高くなります。
設計料は工事費の10〜15%程度が目安です。調査や検討に手間がかかる分、新築よりも負担が大きくなるケースもあります。
また、見積もりの内容によって差が出やすいのが諸経費です。たとえば、既存建物の耐震診断費・各種申請費用・地盤調査費・仮住まいや引っ越し費用などは、工事費とは別に発生するのが大半です。
こうした費用を含めて、工事費とは別に全体の1〜2割程度の余裕を見込んでおくと、資金計画のズレを防ぎやすくなります。
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見積もりに出にくい「見えないコスト」とは?
リノベーションが始まってから「こんなはずじゃなかった」と頭を抱える原因の多くは、見積書に記載しにくい「見えないコスト」にあります。
古民家は解体してみないと本当の状態がわからない部分が多く、プロでも予測が難しいリスクが潜んでいるからです。
ここでは、事前に想定しておきたい代表的な項目を見ていきます。
構造の腐食・シロアリ害による劣化対策

解体してみて初めて分かるのが、柱や土台の劣化です。外から見る限り問題がなさそうでも、内部で腐食が進んでいたり、シロアリ被害を受けていたりするケースは多々見られます。
こうした劣化が見つかった場合、構造材の補修・交換や薬剤による防蟻処理といった対策が必要になります。内容によっては100〜300万円程度の追加費用が発生します。想定していなかった出費としては大きく、予算への影響も無視できません。
古民家は一棟ごとに状態が異なるため、見た目だけで判断しないのが一番のポイントです。床下や天井裏、外壁や屋根の上まで含めた事前調査をしっかり行い、リスクを可能な限り把握したうえで見積もりをつくってもらいましょう。
地盤・基礎の補修

建物に傾きや沈みが見られる場合は、地盤や基礎の補修が必要になります。
古民家では、石場建て(基礎と建物を固定しない構造)が多く見られます。地震の揺れを建物に伝えにくくする日本の気候風土に合ったつくりですが、現在の耐震基準とは考え方が異なるため、補強や構造の見直しを前提に検討しなければなりません。
また、コンクリートブロックを束石の代わりに使った施工も見られます。昭和期の増改築などで使われたよくある例ですが、本来の用途とは異なるため、状態によっては強度に不安が残ります。
住み始めてから違和感に気づくケースが多く、「ドアの開閉がしづらい」「床に傾きを感じる」といった症状がある際には注意が必要です。
補修方法によって費用は変わり、数十万円で収まる場合もあれば、100万円を超えることもあります。後からの改修も可能ですが、効率や費用面を考えると、対策を検討しておく方が現実的です。
断熱・気密不足による追加工事

断熱工事は見積もりに含まれている場合が多いものの、実際の施工段階で追加対応が必要になるケースがあります。
たとえば、以下のようなケースです。
- 壁内部が劣化しており、そのまま断熱材を入れられない
- 壁は施工済みでも、天井や床下には断熱材が入っていない
- 隙間が多く、気密処理を追加しないと性能が出ない
- 既存構造の制約で、十分な断熱厚みを確保できない
こうした問題は見た目では判断できず、解体後に発覚することがほとんどです。その結果、下地の補修や再施工が必要となり、費用や工期に影響します。
事前の十分な現地調査を行ってもらうことに加え、あらかじめ費用に余裕を持たせ、想定外の出費に備えておきましょう。
古い配管・電気設備の全面交換

古民家の場合、目に見える設備は新しく見えても、壁の裏に隠れた配管や配線が当時のまま放置されているケースがよくあります。
特に注意したいのが電気まわりです。
現在の家電製品の消費電力に対して容量が不足しやすく、ブレーカーが落ちやすい状態になることがあります。アンペア数の変更に伴い、分電盤の交換や建物全体の幹線引き直しが必要になるケースも想定しておくべきでしょう。
給排水についても同様のリスクが潜んでいます。
たとえば、金属製の配管「鋼管」は昭和時代では一般的でしたが、錆が生じてバクテリアも発生するなど、衛生的にも品質的にも問題があります。腐食・漏水のリスクもあるため、基本的には配管の全面更新を前提とした計画が不可欠です。
設備更新とあわせて交換する場合、費用は内容によって異なるものの、100万円前後がひとつの目安です。追加費用の負担を避けるためにも、「どこまでが更新範囲に含まれているか」を見積もり時に確認しておきましょう。
法規制・再建築不可などへの適合

古民家の中には、現在の建築基準法に適合していないものや、建て替えができない立地に建つものもあります。こうした条件は、工事内容だけでなく計画全体に影響します。
特に注意したいポイントは以下のとおりです。
- 接道条件(私道・旗竿地など)を満たしているか
- 防火地域・準防火地域に該当していないか
- 用途地域による建築制限がかかっていないか
- 既存不適格(現在の基準に適合していない状態)ではないか
- セットバック(道路後退)が必要な敷地ではないか
条件によっては大規模な改修が難しくなったり、現在の基準へ適合するための工事が必要になったりします。
ただし、こうした内容は事前の調査で把握できるものがほとんどです。知識を持った建築士に確認を依頼すれば、多くのリスクは計画段階で回避できます。
物件選びや初期検討の段階でしっかり調査を進め、「見えないコスト」を防ぎましょう。
インフラ未整備で発生する追加工事(水道・ガス・排水)

見落とされやすいのが、インフラに関する費用です。古民家では、建物自体だけでなく周辺の設備状況によって、追加工事が必要になる場合があります。
特に多いのが排水まわりです。下水道が整備されていない地域では浄化槽の設置が必要で、初期設置に100〜200万円程度、定期的な点検・検査に年間5~10万円ほどの費用がかかります。
一方で、上水道が引き込まれていないケースは比較的少ないものの、井戸水を利用している住宅では設備更新や水質確認が必要です。
また、都市ガスが使えないエリアではプロパンガスを利用することになります。設備費用は大きく変わりませんが、ランニングコストは都市ガスに比べて1.5〜2倍程度になり、長期的にみれば負担増となります。
建物そのものだけでなく、周辺環境も含めて確認しておくと、後からの想定外を減らしやすくなるでしょう。
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古民家リノベーション費用を安く抑えるコツ

ここまで費用の全体像や見えないコストを見てきて、「思ったよりかかる」と感じた方もいるかもしれません。ただ、工夫次第でリノベーションにかかる負担を抑えることは十分可能です。
ここでは、無理なく費用をコントロールするための考え方を紹介していきます。
相見積もりを取る
古民家リノベーションでは、必ず複数の会社から見積もりを取りましょう。同じ要望でも、会社によって提案内容や工事範囲が大きく異なるため、金額だけでなく中身を比較するのが不可欠です。
特に古民家の場合は、どこまで補修するか、どの性能まで引き上げるかによって費用が大きく変わります。ある会社では「現状を活かす前提」で最低限の工事にとどめる一方、別の会社では「安全性や快適性を重視して全面的に改修する」といった提案になる可能性もあるでしょう。
こうした違いを理解せずに価格だけで判断すると、後から追加工事が発生したり、性能面で不満が残ったりする原因になってしまいます。
見積もりを比較する際は、金額だけでなく、工事範囲や前提条件まで含めて確認するのが大切です。複数の提案を見比べれば、自分にとって必要な工事の水準が把握できるようになってきます。
優先順位を決めて取捨選択する
すべてを理想通りに仕上げようとすると、どうしても予算は膨らみます。
そこで大切なのが、「どこにお金をかけるか」をはっきりさせることです。安全性や住み心地に関わる部分を優先し、それ以外は段階的に整えるという考え方もあります。
たとえば、耐震や断熱といった基礎的な性能は最初に整えておき、内装や設備の一部は後から手を入れるといった進め方です。見た目はあとからでも調整できますが、構造部分はやり直しが難しいためです。
すべてを一度に完成させる必要はありません。長く住む前提で考えると、優先すべき工事内容が見えてきます。
補助金・減税制度をフル活用する
古民家リノベーションでは、補助金や減税制度を活用できるケースが多く見られます。特に、耐震改修や省エネ改修は対象になりやすく、条件を満たせば費用負担の軽減につながります。
たとえば、断熱性能の向上や省エネ設備の導入は国の支援制度の対象となりやすい分野です。バリアフリー改修や空き家活用を目的としたリフォームは、自治体の支援制度の適用となる可能性が高い内容です。
さらに一定の要件を満たせば、住宅ローン減税やリフォーム減税(耐震・省エネ・バリアフリー改修)、固定資産税の減額措置といった税制優遇も受けられます。
こうした制度は申請条件や期限が決まっています。早い段階で情報を収集し、制度を前提にリフォームプランへ組み込めば、数百万円単位の負担減も実現可能です。
DIYでコストを抑える
古民家リノベーションでは、「自分で手を入れたい」と考える人も一定数います。たとえば、子供と一緒に壁を塗り替えたり週末に縁側を設置したり、家族でつくりあげる住まいは愛着もひとしおでしょう。
一方で、古い建物は構造や設備が現在とは異なり、改修にあたっては専門的な知識や技術が求められる場面も多いです。無理に手を出すと、かえって手直しが発生し、費用や手間が増える可能性もあります。
まずは専門業者に相談し、どこまで自分で対応できるかを見極めましょう。そのうえで、プロに伴走してもらいながら進めると、仕上がりとコストのバランスを取りやすくなります。
「全部やる」ではなく、「できるところだけ関わる」というスタンスで考えると、無理なくリフォームできます。

古民家リノベーションと新築はどちらが安い?

「2,000万円もかけるなら、いっそ新築を建てたほうがいいのでは?」
古民家リノベーションを検討する際、多くの方が一度は直面する悩みではないでしょうか。
単純な建築費用だけで比較すると、実はリノベーションが必ずしも安いとは言えません。しかし、長期的な視点で見ると、古民家ならではの「経済的なメリット」も見えてきます。
ここでは、新築と比較した際のリアルなコスト感について解説します。
初期コストの比較
同じ面積の家を建てる場合、新築であれば「資材代」と「人件費」がおもなコストとなります。一方、古民家リノベーションは既存の骨組みを活かせるため、一見すると費用を抑えられそうに感じるかもしれません。
ただし、古い建物を現代の安全基準(耐震・断熱)まで引き上げるには、解体費や補強費が想像以上にかかります。状態によっては、新築の7〜8割程度(2,500〜3,500万円前後)で収まるケースもありますが、劣化が進んでいる場合は新築と同等の4,000万円前後、条件次第ではそれ以上になることもあります。
特に、基礎や構造の補修が大きくなると費用は跳ね上がります。初期費用については「新築より圧倒的に安い」と思い込まず、建物の状況をプロに見極めてもらうのが大切です。
維持費・税制面の違い
住み始めてからのランニングコストにも違いがあります。新築は断熱性能が高く、冷暖房効率に優れているため、光熱費を抑えやすい傾向があります。設備も新しいため、当面は修繕費がかかりにくい点も特徴です。
一方、古民家は断熱性能や設備の状態によっては光熱費が高くなりやすい側面があります。ただし、リノベーションで断熱性能を高めておけば、一定の改善が期待できます。「どこまで性能を引き上げるか」が、その後の負担に影響するといえるでしょう。
税制面では、新築は住宅ローン控除などが適用されやすい一方で、古民家は建物評価額が低いため、固定資産税が比較的抑えられる傾向があります。
リノベーションでも、条件を満たせば減税制度を利用できます。制度内容は毎年少しずつ変わるため、事前に最新情報を確認しておきましょう。
【結論】「安さ」よりも「資産価値とこだわり」のバランスが大切
古民家リノベーションと新築のどちらが安いかは、一概には決められません。初期費用だけを見れば古民家の方が有利に見えることもありますが、追加工事や維持費まで含めると差が縮まる場合もあります。
最終的には、「どのような価値を重視するか」が判断の軸になります。新築の安心感や性能の高さは大きな魅力ですが、100年近い時を刻んできた太い梁や職人の手仕事が生み出す情緒は、お金で買うことができない希少な資産です。
耐震補強や断熱改修によって性能を高めた古民家は、単なる住宅を超えた「次世代に引き継げる価値ある住まい」となります。費用だけで判断するのではなく、理想の暮らし方や価値観に合わせて検討するのが大切です。
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古民家リノベーションの費用に関するよくある質問
築50年の家をリノベーションしたらあと何年住める?
状態や工事内容によりますが、適切に補修と性能改善を行えば、さらに50年以上住み続けることも十分に可能です。特に、耐震補強・シロアリ対策・屋根の防水をしっかりと行えば、建物の寿命を大きく延ばせます。
見た目だけでなく、見えない部分をどこまで整えるかによって、将来の安心感は大きく変わります。
古民家のフルリフォーム費用はいくら?
一般的には、1,500〜3,000万円程度がひとつの目安です。
古民家は建物の傾きの補正や基礎のつくり直しが必要になるケースも多く、一般的な中古住宅のリフォームに比べて、費用は2〜3割ほど高くなりやすい傾向があります。
一方で、太い梁や精緻な意匠の建具など、既存の素材を活かした新築では得にくい空間をつくれるのも魅力です。
古民家を自分でリノベーションすれば費用を抑えられる?
はい、壁の塗装や床板張りなどをDIYで対応すれば、数百万円単位の費用を抑えられます。
ただし、家の安全を支える構造補強や、電気・水道・ガスといったライフラインの工事は、専門知識と資格が不可欠です。
自分たちで楽しみながらできることと、安全のためにプロの手を借りることを賢く分けるのが、コストを抑えつつ理想の住まいをつくるためのポイントです。
まとめ|古民家リノベーションで後悔しないための費用の考え方
古民家リノベーションで後悔しないためには、解体して初めてわかる「予測しにくいコスト」まであらかじめ予算に組み込んでおくのが大切です。
- 相場を把握し、余裕を持った予算で計画する(目安:1,500〜3,000万円程度)
- 断熱や耐震など、暮らしの基礎となる性能から優先して整える
- 解体後の追加工事に備え、1〜2割程度の予備費を確保しておく
この3つのポイントを押さえておくだけでも、想定外の出費による計画の崩れを防ぎやすくなります。
古民家はひとつとして同じ条件のものがなく、状態によって必要な工事も変わります。早い段階で建築士などの専門家に相談し、建物の状態を正確に把握しておきたいところです。
実現可能なプランが見えてくれば、具体的な暮らしのイメージも描きやすくなります。
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執筆者
中村しょう子

二級建築士・ライター。建設会社で現場監督・設計・CAD製図・積算・営業など幅広く経験。現場を知る強みを活かし、ハウスメーカーや工務店のSEO記事、建設・不動産会社の取材記事から一般向けメディア記事まで、多様な建築系コンテンツを手掛ける。
