2023-10-06 DESIGN

インテリアトレンドの変遷と化粧シートデザインの進化

TOPPANの環境デザイン事業部は、約60年に渡り家具・建具・床などの化粧シートをはじめとする、くらしを彩る建装材を提供してきました。その中でC-lab.は、化粧シートのデザイン面においてサーフェスデザインの開発に携わってきました。本トピックスでは、インテリアの歴史を振り返ると共に、進化を続けてきた化粧シートに迫っていきます。

化粧シートとは

近年のコロナパンデミックや働き方改革による在宅時間の増加により、人々のインテリアへの関心はますます高まっています。最近では、SNS等で高感度のインテリア情報を気軽に手に入れられることもあり、多くの人が思い思いのインテリアコーディネートを楽しむようになりました。そんなインテリアと深い関係にあるのが、ドアや床材の表層に使われる化粧シートです。化粧シートとは、紙やフィルムのシートに木目などのデザインを印刷したもので、高耐久性やバリエーションの多さなどの特徴を活かして多くの内装材に活用されています。

1980年代、バブル景気による高級インテリアと重厚感の表現

1980年代は日本列島がバブル景気に湧いた時代です。インテリアは「色」を揃える『同色カラーコーディネート』が一般的でした。インテリアという言葉がまだ浸透しておらず、整えられた重厚な雰囲気や高級感の演出が求められました。
フローリングにはオーク材を厚い塗膜によってカラーリングしたものが重用され、ドア向け化粧シートはその床の色や雰囲気に近づけることが求められました。シートの表層の仕上げにも拘り、カラーリングされた重厚な木の質感に似せる為に、濃色インクを駆使する事で再現する事ができました。

2000年代、等身大インテリアと木が本来もつ質感の表現

続いて、2000年代は等身大の時代でした。ゆとり教育が完全実施され、SMAPの「世界に一つだけの花」がヒットしました。
インテリアはそれぞれの住まい手の心地よさが重視された結果、等身大のインテリアスタイルが出現しました。「北欧インテリア」や「カフェ風インテリア」がその一例です。ドアや床には多様な樹種が選ばれましたが、いずれも天然木の素に近い表情で仕上げられ、木そのものの魅力が重視されました。
ドアや床向けの化粧シート開発においては、天然木にみられる繊細な凹凸を表層に取り入れることで木が本来もつ自然な表情を再現することに成功しました。

2020年代、多様化するインテリアと素材感の表現

そして時代は2020年代に突入し、多様化の時代を迎えています。働き方改革、LGBTQ…などありとあらゆる新しい価値観が認められるようになりました。
インテリアにおいても、『マテリアルミックス』というコーディネートが浸透し始めました。木材以外の素材が積極的に取り入れられるようになり「素材の多様化」が進んでいます。木材、石材、金属、モルタル、ガラス...さまざまな素材を住まい手が感性を働かせながら空間に取り入れるスタイルが定着しつつあります。そのような状況下で、ドアや床向けの化粧シート開発でも多様化する素材を幅広く再現していく事が求められています。
新しい表層の仕上げとして、特殊な光沢樹脂を用いる事で繊細な光の変化を再現できるようになり、より多種多様な素材の再現が可能になりました。

このように、化粧シートはインテリアの変化に応じて進化を重ねてきました。2023年現在、アフターコロナやウクライナ戦争など世界は予測できない時代を迎えています。インテリアにおいても、現在の枠にはまらない新しいスタイルが出現し、それに対応する新素材が必要になるかもしれません。私たちは今まで培ったノウハウを活かし、技術を進歩させながら、未来のインテリアを支える化粧シートの開発に日々取り組んでいきます。

私たちC-labは、このような取り組みをはじめとして、様々なノウハウやナレッジを活かしたCMFの開発支援やインテリア関連事業など幅広いコンサルティングも行なっています。興味をお持ちの方は下記の【contact】からぜひご連絡ください。最後までお読みいただきありがとうございました。