C-lab.は11月20日から21日に開催されたBAMBOO EXPO 20に【マテリアルトライアル】を出展しました。
【マテリアルトライアル】とは60年以上に渡る化粧シート開発の実績をもつTOPPANと、様々なジャンルで活躍される3人のデザイナーとの共創による、新たな建装材の可能性を探るプロジェクトです。本展示では、鬼木 孝一郎氏(鬼木デザインスタジオ)小川 裕之氏(HOAP)シミズダニ ヤスノブ氏(pole-pole)と創り上げた3作品を展示しました。
また11月20日(月)15:00〜16:00開催のトークセッションでは3人のデザイナーとC-lab.で会場に展示される作品やトライアルに関しての話題をお届けしました。トライアルに対する思いやここでしか聞けない裏話などで盛り上がりましたが、その一部を下記にてご紹介いたします。
この作品は、ポリエステル繊維製の「三軸織物」を型押し成形して制作したパーツを連結していくことで出来上がるパーティションです。三軸織物のもつ多軸への強さの特徴を最大限に活かすために、パーツの形状には正六角形を採用いたしました。成形前にグラデーション状の印刷を施し、ランダムに回転させながら繋ぎ合わせることで全体に色のムラが現れる仕掛けとなっています。小さな部分の集合により様々な形状や表情を生み出すことを目指したことから、自然界を構成する基本単位である細胞を意味する「CELL」と名付けました。
プロフィール:鬼木 孝一郎
ODS/鬼木デザインスタジオ代表。建築家・デザイナー。1977年東京都生まれ。少年時代を英国で過ごし、早稲田大学にて建築を学んだ後、日建設計に勤務。その後、nendo 入社。10年間に渡り、国内外の空間デザインを手がける。 2015年にODS/鬼木デザインスタジオ設立。
オフィスでの使用を想定した一人用ブースです。 使用済み紙おむつから再生された樹脂シートを活用したデザインです。空気で膨らんだ半透明の二重膜は人と人の間に 適度な距離感を作り、設置された空間に優しい印象を与えることでコロナ禍を経た私たちの働き方にふんわりと寄り添います。また、空気を抜いて小さく折り畳たためるので輸送時のコストを低く抑えることが可能です。
※本展示品は開発サンプルの為、別素材を使用
プロフィール:小川 裕之
HOAP代表。建築家。1977 年千葉県生まれ。 2002年東京藝術大学美術学部建築科卒業。2004 年東京藝術大学大学院美術研究科建築専攻 修士課程修了。同年、小川都市建築設計事務所設立。2008年ー2011年東京藝術大学美術学部建築科助手。2018年HOAP設立
「layered」
複数のデザインを重ねて層をつくることで、新たな景色が生まれ、三軸織物は規則正しい繰り返し模様で構成されているため、重ね合わせたときにモアレが発生します。プリントした柄に加えて、モアレという偶然起こる現象も利用することで、複雑なサーフェスパターンが浮かび上がります。
「double」
印象の異なる柄や色彩を、表と裏、両面にプリントすることでコラージュを生み出します。メッシュ構造である三軸織物にパターンを施すことで、見る角度や光によって変容しながら新たな模様が現れます。
プロフィール:シミズダニヤスノブ
株式会社pole-pole共同代表。テキスタイルデザイナー。2004年多摩美術大学卒業。2008年「プリントデザインからはじまるモノづくり」をコンセプトにテキスタイルブランド『JUBILEE』を始める。2017年株式会社pole-pole設立。
C-lab.はBAMBOO EXPO 20の初日に開催されたトークセッションに出演し、
『「可能性に挑む」これからの空間を彩る新マテリアルとは』というテーマのもと、今回共創した3人のデザイナーと共に【マテリアルトライアル】についての内容をお届けしました。イベントでは時折会場が笑いに包まれながらも、3人がいつも大切にしている視点や考え方など、三者三様のデザイナーとしてのこだわりの部分も垣間見え、大変興味深いトークセッションとなりました。
〜トークセッションの一部をご紹介いたします〜
長谷(C-lab.):「今回の展示品のような新しい発想を生み出すコツや、参加されて感じたことなど教えてください。」
シミズダニさん:「私はテキスタイルデザイナーとして色彩やプリントデザインがどのように世の中に影響を与えるかを研究しています。デザインを考える時は自然物や人工物の区別なく、日常的にあるものを幾何学に置き換えることをテーマとしていて、普段の生活の中にあるちょっとした気づきから形にすることが多いですね。
今回の2つの作品を作ってみて、自分の枠を拡げるという意味でも改めて新たな素材に触れることはとても大事だなと感じました。素材自体もとても可能性を感じるので今後の自分の仕事でも使いたいですね。
テキスタイルという素材はある意味でとても曖昧なものなので、それが空間と結びつくことでテキスタイルの魅力が最大限に引き出せるようなものを作っていきたいです。」
小川さん:「普段の仕事はインテリア、特に住宅の設計が多いのですが、住宅では安らぎや穏やかさが必要になるので、その中で使われるマテリアルは触って気持ちいいものや、触りたくなるような皮膚感覚に近いものを選んでいます。今回もそんな視点でこの和紙のような風合いもある紙おむつリサイクルの素材を選びました。
いつも図面に起こすことが出来る静止したものを扱っているので、今回の風船のような、素材自体が伸びて、空気を入れることで変化していくものは扱う上での難しさを感じながらも、これまでにない発想が湧いてきてとても面白かったです。今回をきっかけに、また新しいものに挑戦していきたいですね。」
鬼木さん:「普段はインテリアの仕事がメインでその中でも商空間が比較的多いのですが、日頃から空間を作っていると様々なマテリアルに触れる機会があります。一般的な素材でも通常とは違った使い方を模索しながら、どうやって空間に活かしていくかを常に考えているので今回このプロジェクトに参加できてとてもよかったです。
制作した「CELL」では普段の空間設計ではなかなか触れることのない型押し成型のような技術を使えたことも新鮮でしたし、一緒に参加したデザイナーの2人のアプローチの仕方も勉強になりました。
普段のアウトプットでは気持ちの面でも、誰かに感動してもらえたり印象に残るものを作りたいなという気持ちは常に意識しているので、今回の作品からもそういったことを感じて貰えたら嬉しいです。」
3人とも新しいことにチャレンジすることへの楽しさを今一度確認することができたと、ありがたいお言葉をいただきました。また、C-lab.メンバー一同、新しい視点からの創作活動を共有できた貴重な機会となりました。今回「第1回 マテリアルトライアル」にご協力いただいた鬼木さん、シミズダニさん、小川さん。本当にありがとうございました。
またトークセッションの最後に紹介し、反響をいただいているミラノレポートに関しては下記にてご覧ください。
ここまで、第1回【マテリアルトライアル】の様子をお送り致しました。
C-lab.では今後、第2回の開催も検討中です。TOPPA!!!TOPPANをモットーに課題に対してどんどん新しいことにチャレンジし突破していきます。【マテリアルトライアル】に関して、ご興味を持っていただいた方やご質問のある方は下記の▶︎contcatよりお気軽にお問い合わせください。
TOPPAN C-lab.(Toppan Creative Laboratory)は、生活空間のサーフェスデザインをベースに調査・分析を行い、製品開発から空間全体のソリューション提案を行うデザインファームです。
C-lab. Top ContactC-lab.は、サーフェスデザインをベースに調査・分析を行い、製品開発から空間全体のソリューション提案を行うデザインファームです。
大きな強みは、永年培ってきた調査・分析力と、CMF+Pをベースとしたものづくりへのゆるぎないこだわり、そして独自の調査データに基づくトータルな提案力です。
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