11/24にオープンした高さ330メートルの日本一高い「森JPタワー」を中心に、住宅や商業施設(ヒルズマーケットは2024年1月オープン)、ホテル(アマンが手掛ける世界第一弾となる新ブランド:JANU Tokyoは2024年2月オープン)などが入る複数のビルで構成される巨大複合施設「麻布台ヒルズ」のメディア内覧会に参加してきました。
麻布台ヒルズは、1989年に発足した街づくり協議会から用地交渉が開始、国家戦略特区における都市再生プロジェクトとして2016年都市計画案が作成され、決定し、2019年に着工。そして2023年、35年の時を経て誕生した注目の大規模市街地再開発事業として誕生しました。そのデザインコンセプト、サーフェスデザインのCMFP(color, material, finish, pattern)に迫ります。
「東京の真ん中に、広場のような街が生まれる。」オープン当日の全国紙に、麻布台ヒルズの全面広告が掲載されました。
高低差が生かされ、低層部(ガーデンプラザ)の屋上を含め敷地全体が緑化され、全体では24,000㎡もの緑地が整備され、どこを歩いても豊かな「Green」を感じることができます。320種の多様な植栽は四季折々に表情を変え、様々な人たちをお迎えする。緑に包まれ、人と人をつなぐ「Wellness」な空間、広場での様々なコミュニケーションが生まれます。
マップのように中央広場を核に建設中のレジデンスを含め、森JPタワー、タワープラザ、ブリティッシュ・スクール・イン 東京、ガーデンプラザが広がり、それらを桜麻通りがつなぐ全体像。
世界の大都市、東京。今、国際競争力が問われる中で、その存在をアピールする新しい「広場」としての麻布台ヒルズには、オフィス、住宅、ホテル、マーケットなどの商業施設、ギャラリーなどの文化施設、インターナショナルスクールや予防医療センター等、多様な都市機能が集積しています。世界的な建築家・デザイナーの個性的な空間演出の中、それらがシームレスにつながり、豊かな人の営みを最新の施設と最高の品質で実現することを目指しています。
では、麻布台ヒルズの空間、CMFPのトピックスをC-lab.視点でご紹介していきます。ビルの外観デザインは故シーザー・ペリ氏とフレット・W・クラーク氏。有機的な3Dデザインが特徴的な低層部エリアのデザインはトーマス・ヘザウィック氏の手によるものです。人にも環境にもやさしい印象を与えるデザイン。低層部デザインに見られる穏やかな曲線美に代表されるように、空間の要所、要所に曲線、丸みのある形状、仕上げが施されています。折り上げ天井で切り取られた曲線、柔らかな曲線で構成されたシステム天井。柱や壁、コーナー部分の仕上げに見られる緩やかなR形状。ガラスやメタルメッシュのような硬質な素材さえも優しい印象をまとって。休憩用に置かれたベンチの象徴的な素材とラウンドフォルム。
こういった柔らかな曲線のデザインは今年4月開催の「ミラノサローネ(家具展示会)」でも多く見られ、トピックスとして紹介していたものです。人を包み込み、優しく受け入れる、丸みのあるデザインは、今の時代に様々なジャンルで求められているのかもしれません。
写真は来月オープン予定の「麻布台ヒルズマーケット」のアプローチエリアです。柱から緩やかな曲線を描きながら放射状に広がるスチールのデザインはダイナミックでありながら、食の楽しさや、豊かさをやさしく演出しています。
エレベーターホールにはカーテンが風に揺れて波打つ様な緩やかな表現が左官仕上げにてデザインされています。お隣のエレベーターホールの写真は石材です。同様に柔らかい曲線が施され、パン生地か何かが折り畳まれている、そんな積層感が感じられます。
床や壁、什器等の表層(サーフェスデザイン)を際立たせ、空間のクオリティを高めるのに効果的な光の演出をトピックスとしてあげておきます。
先に述べた曲線のデザインを象徴する様に、シームレスなつながりを感じさせ、人を楽しませ、ワクワクさせる様な光の演出の妙。
オフィス、商業施設、ギャラリーなどの文化施設をさりげなく、あるいは個性的に彩るサーフェスは数多く確認できました。この辺りの詳細レポートはC-lab.が経年で実施している「店舗・施設調査2023」にてご紹介させていただきますので、お問合わせいただければと思います。
52Fに設けられたオフィスフロアからの眺望をご紹介しておきます。天空のオフィス、どのような企業がワークを展開するのでしょうか。羨ましい環境ですね。
以上、麻布台ヒルズのトピックスとして、コンセプトから施設概要、そして厳選されたCMFP、その空間に独特の雰囲気を与える照明による相乗効果等をダイジェストでご紹介してきました。
1月には「麻布台ヒルズマーケット」がオープン、2月には「森ビルデジタルアートミュージアム」「ホテル ジャヌ東京」がオープン予定。以降はラグジュアリー店舗が続々とオープンしていくとのこと。多種多様、多彩なCMFP、デザインの面白さが感じられる空間をどうぞ楽しみに、現地に足を運び、体感していただければと思います。
「店舗・施設調査2023」
C-lab.では2010年から新しい店舗・施設のデザイン動向をJAFCA日本流行色協会様との協業により、経年的に調査し、トピックスとして分析、その年のCMFPの動向と合わせ、まとめています。ご興味のある方は是非とも下記「contact」からお問合わせ下さいます様よろしくお願い致します。
出典:C-lab.資料
また、C-lab.のサービスについては以下をご覧ください。
TOPPAN C-lab.(Toppan Creative Laboratory)は、生活空間のサーフェスデザインをベースに調査・分析を行い、製品開発から空間全体のソリューション提案を行うデザインファームです。
C-lab. Top ContactC-lab.は、サーフェスデザインをベースに調査・分析を行い、製品開発から空間全体のソリューション提案を行うデザインファームです。
大きな強みは、永年培ってきた調査・分析力と、CMF+Pをベースとしたものづくりへのゆるぎないこだわり、そして独自の調査データに基づくトータルな提案力です。
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