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彩りを添えるホテル「OCICA OSHIAGE TOKYO」、風薫るホテル「ザ・ゲートホテル横浜 by HULIC」CMF+P考 店舗・施設調査2025より

C-lab.では2010年から毎年、都内及び近郊・関西エリアにオープンした主要店舗・施設のファサード、インテリアスタイル、*CMF+Pの調査、分析を実施しています。2025年度も各グループが担当地区の調査を進め、来たる情報共有・発表会に向けて「まとめ」ワークが佳境を迎えている状況です。調査対象は大型商業複合施設(多くの店舗があり調査は大変:汗)、注目の路面店舗、同ホテル、シェアオフィス、その他公共施設等と多岐に渡ります。今回のC-lab.トピックスではインバウンド需要で活況を呈するホテル業界から2つの個性的な調査物件を取り上げ、担当したグループメンバーの対談形式で紹介いたします。

Kさんは調査初年度から参加しているベテラン調査員で今回は下町エリアを担当。Sさんは調査への参加は3回目、西地区・横浜エリアを担当。経年変化やエリアの特性、フレッシュな視点での対談が展開します。

紹介させていただく『OCICA OSHIAGE TOKYO by R HOTEL様』、『ザ・ゲートホテル横浜 by HULIC様』にはこの場をお借りして、多大なるご協力に対し感謝申し上げる次第です。

※CMF+Pとはサーフェスデザイン(表層のデザイン)におけるColor:色 / Material:素材 / Finish:仕上げ / Pattern:柄を指し、これらのデザイン動向を調査することで現状を把握し、これからの兆しを探ろうという視点。

CMF+P考:彩りの「OCICA OSHIAGE TOKYO」、風薫る「ザ・ゲートホテル横浜」

Kさん:今回、我々は墨田区、江東区、足立、台東、葛飾といわゆる下町エリアを担当しました。庶民的でカジュアルな雰囲気が漂う、訪日外国人にも人気のエリア。私からは押上に4月にオープンした『OCICA OSHIAGE TOKYO』さんを紹介したいと思います。

Sさん:スカイツリーを仰ぎ見る、下町の情緒漂うエリアですね。どのようなところが紹介のポイントですか?

Kさん:「訪れるすべての人の旅を彩るホテル」というのがHPのトップワード。これが示すようにエントランスからラウンジ、客室へと様々なカラーに溢れたインテリアが特徴的です。

Sさん:旅を彩る!カラーに溢れる!魅力的なコンセプトですね。具体的にはどのようなカラーに彩られているのでしょうか?

Kさん:遊び心と共に8つのコンセプトカラーが設定されています。具体的にはred、pink、orange、yellow、green、blue、purpleにmonochrome(white/gray/black)がルームカラーとして設定されています。写真のように床、壁、天井材も、備え付けのベッドやテーブル、ベッドカバー、カーテン、ハンガーやアメニティの色にコンセプトカラーの1色が徹底して使用されています。

Sさん:本当に「redの部屋」「yellowの部屋」「blueの部屋」「monochromeの部屋」、、、徹底した色使いに驚かされます。まさに色を纏った空間!ゲストにとっては忘れられない思い出になりますね。これは宿泊者が自分で泊まりたい部屋の色を選べるのですか?

Kさん:そうなんですよ。自分の好きな色を選び、その色に囲まれた滞在を体験して欲しい。「旅を彩るホテル」、感性を刺激することで、新たなインスピレーションが生み出せる。色の魔法にかかったような不思議体験が新たな創造につながる、そんな気がする空間です。
では、Sさん取材のホテルの紹介ポイントをお願いします。

Sさん:私たちのグループは横浜駅周辺のエリアの調査を担当しました。個人的になかなか横浜を訪れる機会がないので、今回の調査自体楽しかったです。横浜は都内よりも土地に余裕のある店舗作りが多い印象ですよね。今回は元町方面まで足を運び、ウォーターフロントの立地を活かした『ザ・ゲートホテル横浜 by HULIC』を取材させていただきました。

Kさん:横浜といえばたくさんの名所がありますが、周辺との関係性はいかがでしたか?

Sさん:横浜赤レンガ倉庫や大さん橋、山下公園といった観光名所が近く、観光の利便性が抜群です。元町の落ち着いた周辺環境に位置していて、ロングステイにもピッタリなロケーションです。コンセプトは「風薫るホテル」です。

Kさん:素敵なコンセプトですね。館内はどのような雰囲気ですか?

Sさん:館内は歴史ある街の香りや潮の香り、船の往来の音、アート作品など、五感で心地よさを感じられる空間が広がっています。12Fにあるロビーからは横浜の景色が楽しめます。

Kさん:横浜が感じられる素晴らしい眺めですね!客室はどういった雰囲気でしょう?

Sさん:客室の窓が足下まであるくらい大きめに作られていて、解放感があるのが印象的でした。ベッドにはダークブラウンの木目が用いられ、什器にはカラフルなテラゾーが随所に使用されています。また、部屋ごとにモスグリーンやテラコッタ色のファブリック、ゴールドのランプシェードがアクセントとして添えられ、落ち着きがありつつも無機質にならない工夫が感じられます。アール状の什器や壁の仕上げがあったことも印象的ですね。この丸みがあることで、空間に柔らかさと高級感を与えていると思います。

CMF+P考:「彩りと遊び心」「土地の記憶と調和」の織り成す空間

Sさん:『OCICA OSHIAGE TOKYO』さんの共用スペースはどのような特徴がありますか?

Kさん:四季折々に変化する植栽と8つのコンセプトカラーを感じながら、黄色のミラーフィルムで彩られたエントランスドアを進むと、色と光のレセプションエリア、ラウンジが広がります。コンパクトながらも自然の光(日中での取材。柔らかな陽の光の心地よさ)とカラーライト、天井の波模様のステンレスプレートへの光の映り込みも効果的で、ワクワクするような高揚感と共に、どこか幻想的な雰囲気が感じられました。

Sさん:確かに。面白い演出ですね。正面のカラーライトの壁面はベンチになっているようですが、、

Kさん:そうなんですよ。ここが遊び心の一つ、機能として腰掛けることができるのですが、ホテルの名前「O・C・I・C・A」のアルファベット文字がデザインされているんです。他にもカードキーの着せ替え、「推し」のトレカを重ねて撮影することを想定したカードサイズのOCICAオリジナルの額縁フィルムもフリーで提供。バックパッカーやローコストでの旅を楽しむゲストをもてなす上でのちょっとした工夫が嬉しいところかと。

Sさん:なるほど。ホテル自体はコンパクトですけど、共用部にはゲストを楽しませる工夫があり、そこにも多彩なカラーが用いられているのですね。私もカラーの部屋を見たときに真っ先に推し活を思い浮かべました(笑)。ゲスト同士の偶発的な出会いもこの空間で楽しめそうですね!

Kさん:工夫という点で『ザ・ゲートホテル横浜 by HULIC』さんのオススメはいかがですか?

Sさん:1Fに併設されているレストランにはオープンカフェのようなスペースもあり、(日本の人にとっては)海外を訪れたかのような雰囲気を感じられて、非日常の滞在時間を楽しめると思います。かつてイギリス居留地であった土地の記憶とモダンな空間が上手く調和した雰囲気です。天井高があり、客席側のアール状の天井が印象的でした。
また、ルーフトップテラスの眺めが素晴らしい点。宿泊者専用のテラスからは横浜港を一望できます。空間自体はシンプルで、立地を活かした昼と夜の横浜の顔を十分楽しめる見晴らしとなっています。私たちは昼間に訪問させていただきましたが、夜景も絶景のようですよ。

Kさん:『OCICA OSHIAGE TOKYO』はバスやトイレは共用ということですが、ジェンダーの区別ははっきりしているし、セキュリティの面はカバーされています。洗面(パウダールーム)には高性能ヘアドライヤー、バニティミラーが設置されている。こういう配慮も嬉しいところですね。

Sさん:セキュリティーと快適性は重要なポイントですからね。それらを踏まえての「カラー、彩りと遊び心」のある空間。面白いアプローチですね。

Kさん:ラウンジとそれぞれの個性的なゲストルームのカラーリングは推し活やセルフィー、思い出の写真へのスペシャリティに対応するものであり、共用部である屋上からは押上ならではの迫力ある東京スカイツリーが望めます。魅力的でユニークなフォトスポットを支えるCMF+Pもこれからの空間づくりに欠かせないポイントだと思います。

Sさん:そうですね。SNSなどでたくさんの情報が手に入る時代なので、ホテル選びの際に写真の与える印象はとっても重要ですよね。

二人で:宿泊者のニーズに寄り添い、ミニマルな空間の中で遊び心とカラーで「旅を彩る」を実現したホテルと、立地を活かし、その土地の記憶と調和しあう「風薫るホテル」。まったく違うアプローチではありましたが、どちらも訪れる人のことを思った工夫が随所に感じられる空間づくりとなっていました。

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